生物多様性研究・教育プロジェクト(四季折々の自然の風景と野鳥) No 31: オオタカ,チョウゲンボウ,サシバ・・・と痛風の発作第一波

2023年9月21日

1.Introduction
 今年(2023)は,7月に入ってから体調が悪くなった。7月中は何とか持ったような気がするが,8月に入ると右足の親指の付け根(足指骨と中足骨をつなぐ関節)が赤くパンパンに腫れあがって,歩くと激痛が走るようになった。痛風(gout)とは,尿酸(uric acid)が体内で析出して結晶化することにより,関節炎等を誘発する疾患で,その背景には高尿酸血症などが存在するということらしい。

図 1.尿酸の分子構造

 尿酸の分子式 はC₅H₄N₄O₃(分子量168)と表わされる。分子構造については図1に示した。インターネットで調べていたところ,「日本痛風尿酸・核酸学会」があることを知った。尿酸というのは,有名な分子だと改めて思った。

 にもかかわらず,体内における生理的な役割はわかっていないと述べられているが,脊椎動物の進化を考慮すれば,なぜ役割が不明かすぐに説明できる。

 日本の研究者は,専門性が高いと言えば,聞えはいいが,優秀な人でも視野があまりにも狭いという大きな欠点を持つ。視野の狭さは,日本の社会に多く残っている権威主義や派閥主義を主体とする研究・教育制度の導入に大きな影響を与えている。この日本式教育・研究制度は,国際社会の中では通じない。教員志望者の数が減少しているのは,権威主義や派閥主義を利用して,教員の育成を図ろうとする国の基本方針(少なくとも文部科学省の言うことだけしか聞かず,自分の頭でものを考えようとしない教育委員会はそうだろう。)を若者が嫌がる時代に入ったということを示しているかもしれない。教育はもっと自由でありたい。仕事が終わって夕方6時に帰宅し,家族みんなで夕食も取れない・・・,なんてことは異常な事態である。そんな事態を招いたのは,文部科学省の言うことを過度に忖度し,それを下部の組織(地域の教育委員会)に押し付けて,それでいい教育ができると思っている教育委員会にも問題があるのではないだろうか?大都市にしても地域にしても,教育委員会というのは,多くは権威主義や前例主義を教育の原点とする人たちで構成されている。

 私は,きっと誰よりも教育委員会に入れる可能性は高かったと思う。東京都でも大阪府でも採用されたに違いない。しかし,物腰は穏やかだが,二宮尊徳の保証人だか指導教員みたいな人たち(教育に浪花節を持ち込む人たち)と一生付き合ってゆく気にはなれず,この道は大学2年生ぐらいで断念した。(ペスタロッチの教育論など見て,これはダメな道だと思った。)親の期待には応えられず,大変迷惑をかけたと思う。

 8月に起きた右足指の発作は,以前に何回か経験している。発作が最盛期に入るころは,足が痛くてズック靴も履けなかった。車の運転(吉備中央町の和中まで1日おきに行く。)は,裸足でアクセルとブレーキを踏んでいた。しかし,特にブレーキは思い切り踏むことができず,もともたした運転になった。発作が起きてからは,岡北整形外科でもらった尿酸の化学合成を抑える薬を1日一錠飲んだが,鎮痛剤はもらわなかった。こうして8月の発作は,通常通り(?)1週間ぐらいして症状が消えた。

 9月に入ってから・・・,確か9月10日(日)だったかと思う。自宅の庭木や雑草が茫々としてきたので,雑草は草刈り機で刈ったが,ウバメガシやシラカシ(?)は,ブロック塀や軽トラの荷台に登って剪定した。塀の上を歩いていた時に,左足の親指付け根に「ピキッ」という感じの違和感があった。最初は対して気にならず,マッサージ器をかけていれば治るだろうと思っていた。

 しかし,16日(土)になってから事情は一変した。まずは,右足の時と同じように,親指(足指骨)と中足骨を結ぶ関節に炎症が起き,階段を上り下りするのもやっとの状態に陥った(17日)。岡北整形外科でもらった薬がまだ残っていたので,それを飲んで回復を待つことにした。しかし17日(日)には,炎症は足指骨を通り越し,左足の甲(中足骨)からくるぶしにあたる足根骨に拡散した。18日(日)は,とうとう足の甲が「板カマボコ」状態になり,起き上がることもままならぬほどになった。

 大地震の前触れはあった。15日ごろからは,机に向かっても全然仕事に集中できなくなった。体がだるくてすぐに眠たくなるが,寝ても熟睡はできず,同じ夢(なんと説明していいかよくわからない。ひたすらもがく夢。)ばかり何度も見た。このあたりから,何かやばいことが自分の体の中で起きていると感じるようになった。

 19日(火)からは,きれいな濃いオレンジ色のおしっこが出るようになった。オレンジ色の「雲」は,水に溶けない分子で,すぐに便器の底に沈んだ。分析機器は持ち合わせていないので,想像で言うしかないが,おそらくシュウ酸カルシウム(結石の成分で,色はオレンジのような気がする。)が結晶化する前の前駆体(水に不溶だか溶けるのか,よくわからないプリン体?)が排出されたのだろう。おそらく薬が効いて,腎臓がうまく機能し始めたのだと思う。腎臓自体が,血液中に溶けている高濃度の塩分(NaCl)によって働きが低下していたかもしれない。

 さてさて,この度初めて左足に発生した痛風は,さすがに今までになく規模は大きかった。左足に激痛が走るのは当然であるが,その他にも体中に異変をともなった。未だに(9月21日)1日数回は眠気に襲われ,昼寝をしてしまう。お風呂に長く入って体から相当量の塩分を除いたつもりだが,オレンジ色をしたおしっこは,19日から3日間続いている。食欲は減退し,やっと20日の夜になって,ソーメンを薄味のつゆで食べることができた。(なお,痛風発症の関係でソーメンの賞味期限は,5日ほど過ぎていたが,このぐらいなら問題はない。)ビールは9月19日(火)からは,全く飲めなくなってしまった。禁酒したのではなく,全然飲みたいと思わなくなった。体全体に相当大きな変化があったのは間違いなかろう。

 痛風や高尿酸血症を放置すると,高血圧を併発するだけでなく,動脈硬化を起こす。さらに心筋梗塞脳梗塞などの危険な病気へと進みやすいようだ。ビールは全く飲めず,食欲もない。そして特に危険な兆候は,パソコンに向かっても,頭はボーとして,論文や記事を書く意欲が全く失せたことである。おそらく高血圧のせいだろう。予想される現在の最高血圧は160~180mmHg,尿酸値はとんでもなく高い数値(例えば,20)になっていたかもしれない。待てよ,自分は道に迷って,三途の川に出る道に出たのではないかと思った。

 今回の事態は深刻である。まず改善しなければならないことは,痛風による足指骨,中足骨,足根骨,そしてくるぶしから痛みを除くことではない。大事なことは,血液の脱塩である。間違えているかもしれないが,とにかくここから始めてみたい。薬に頼ると危ない。(一時的な症状の改善にしかならない。)完全オレンジ色のおしっこは, 成分は不明だが,1週間で元に戻るかもしれない。9月23日現在で,左足のが激しく痛い。まだ尿酸が大量に残っているのだろう。

 春からの生活とそれ以前の生活で大きく違っている点が一つある。今までは1週間に2度ほど近くの山(龍ノ口山)に上って汗をかいたが,今年はやめてしまった。この習慣は元に戻す必要があろう。

2.撮影に関する基本情報
<撮影者と所属>三枝誠行・近澤峰男(生物多様性研究・教育プロジェクト)
<撮影場所> オオタカ(2014 年 9 月 11 日,美嚢川);チョウゲンボウ(2015 年 9 月 28 日,不明);サシバ(2016 年 9 月 1 日,不明;2017 年
6 月 1 日,吉備中央町)。サシバは吉備中央町・高梁市有漢町や巨瀬町でもよく見かける。撮影場所が記されていないのは,整理するときに忘
れてしまったのかもしれない。
<Key words> 痛風と高尿酸血症,尿酸,尿素,鳥類,ヒト,板カマボコ足,血液の浸透圧,塩分,オレンジ色のおしっこ,脱塩。
<撮影機材> EOS 7D Mark II(Canon)with 600mm Lens (Canon)と思う。

<参考文献>
・池田嘉平・稲葉明彦(編)1971. 日本動物解剖図説。森北出版。
・健康と病気における尿酸の意義:尿酸ってなに?(https://www.tufu.or.jp/gout/gout2/59)
・高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第 2 版,第 3 章:高尿酸血症・痛風の治療(https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0052/G0000210/0024)
・尿素(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BF%E7%B4%A0)

図2.尿素の分子構造

 図 2 は,尿素の分子構造を示している(Wikipedia)。尿素は無色無臭の結晶で,哺乳類や両生類の尿に多く含まれる。水には容易に溶ける。水に対する溶解度は,水 100ml(20℃)に対し,108g とのこと。窒素の排泄は,硬骨魚綱では主にアンモニア,ホ乳綱や両生綱,軟骨魚綱では主に尿素(図 2),鳥類やハ虫類の多くでは主に尿酸(図 1)で行われる。尿酸から尿素を作る(主に分解)過程では,かなりのエネルギーが必要になるだろう。

 ヒト(ホ乳類)や両生類では,タンパク質に使われる窒素のうち,過剰分やアンモニアが,尿素回路(肝細胞内にあるオルニチン回路)を通って尿素として尿中に排泄される。成人は尿素を 1 日 30g ほど排泄する。「過剰なストレスで尿酸の生産が亢進され,尿酸の排泄が追いつかなくなり,結晶化して有害性を示す(痛風)」とあるから,私の場合にはまさにこの通りになった可能性が高い。

図 3. ぴよ吉のウンチ。白い色の部分が非水溶性の尿酸。見かけはニワトリのウンチと同じだが,そんなに尿酸の臭いは強くない。ホ乳類は,尿管は消化管とは別個に開口している。尿酸は尿素にして,水に溶かしてからおしっことして体外に排出しなければならない。

 最も簡単な窒素化合物はアンモニアである、しかし,アンモニアは生体に有害なので,比較的安全な尿素として貯めた後に,水溶液として外界に排泄される。ただ,水溶性なので水と共に捨てなければならず,分解や濃縮にも一定のエネルギーを要する。水の確保が重要な問題となる生活では,非水溶性の尿酸にした方が有利という意見がある。ハ虫類や鳥類のウンチに含まれる白い部分は、非水溶性の尿である尿酸(固体)である(図 3)。

図 4.大空を飛ぶオオタカ。2014 年 9 月 11 日,美嚢川(みのうがわ)(兵庫県)にて。オオタカを見て興奮するのは,芸能人を見て興奮するのと同じ。

図 5.アカマツの枯れ枝に腰掛けるオオタカ。2014 年9 月 11 日,美嚢川(みのうがわ)にて。
 美嚢川は,加古川水系の支流で兵庫県南東部を流れる一級河川である。流域には山田錦など,酒米の原材料となる水田が広がっている。
 近澤峰男さんが撮影した場所は不明である。中国自動車道の付近で撮影されたのではなかろうか?
 私は,今は亡き近澤峰男さんからカメラ(Canon EOS 7D Mark Ⅱ)と Canon 600mm レンズを一式預かっている。しかし私が行っても,こんな素晴らしい写真は絶対に撮れない。そもそも,飛んでいる鳥がオオタカなのかも区別できない。その意味で,近澤さんから頂いた写真ファイルは貴重である。
 近澤峰男さんは,こんな素晴らしい(excellent)な画像の入ったファイルをどうするお積りだったのだろうか? 写真会に出すことはなかったと思う。ボイラーの製造会社を退職されてから,近澤さんは兵庫県立フラワーセンターに週数回の割で通っていたようだ(おそらく無給の研究員みたいな身分)。そこでは,いくらか写真もプリントしていたかもしれないが,主には木彫りの野鳥を展示していたようである。
 兵庫県立フラワーセンターでは,近澤さんの撮影された写真を公開しているか問い合わせてみた。
 県立何やらセンターというところは,大概は自分たちの行っているイベントしか興味がなく,初めから活動にバイアスがかかっている。自分たちのやっていることに賛同する人たちだけを集めて,自画自賛の「何とか友の会」とか「何とか研究会」みたいなを作って,自分たちの活動がいかに社会貢献をしているかを誇示しようとする。
 そういうところには,近澤峰男さんの写真ファイルは寄贈しない方がよい。

図 6。オオタカのヒナ。撮影日時不明だが(2014 年 6 月か 7 月ごろか?),撮影場所は美嚢川だろう。

図 6。アカマツの枯れ木につかまるオオタカ。近澤峰男さんの写真は学術的価値が高いと思う。愛好家の人たちの感覚で撮影された写真とは違う。私の研究・教育活動の 3 本柱のひとつである「四季折々の自然の風景と野鳥」の中で取り扱うこととしたい。学術活動となると,オオタカについて書かれた原著論文を読み,論文の記述に応じたコメントを出すことになる。鳥類の愛好家学会は「好きこそものの上手なれ」的な感覚が今でも抜けていないが,ノスタルジア感覚で学問ができると思うのは,昔の時代の妄想である。日本では生態学者を育てるための教育システムが全く整備されていない。実際に私がやってみても,こんな幼稚で口先だけの人材が生態学者になるのは無理だと思った。日本の社会は幼稚な人たちをかばい過ぎだと思う。それが原因のひとつ。

図 7.電線にとまるチョウゲンボウ。日本の社会では,国民全体に幼稚化(infantilization)が進行しているように思える。幼児化(ネオテニー)した成人や老人達に,野生動物の研究や保護を任せるのは難しい。幼児(幼稚)化という性質は,昔から日本の社会に根強く生き続けてきているかもしれない。

図 8.体を反転させたチョウゲンボウ。何か獲物を見つけたのかもしれない。あるいはこちらのレンズに反応したのか?後者の可能性の方が高い。

図 9.大空を飛ぶサシバ。私は昔,歯学部の講義(一般教育)と実習をやっていた。サシバが出た時にこんな鳥もいると言ったら大笑いされた。

図 10.ペアで大空を旋回するサシバ。吉備中央町では,こういう景色はよく見られる気がする。

図 11.ペアで飛ぶサシバ。野鳥は尿酸を水に溶かすのではなく,固形物として総排泄口から捨てることができる。尿素で排出するホ乳類とは異なる。

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