生物多様性研究・教育プロジェクト(四季折々の自然の風景と野鳥) No 32: 痛風の発作第2波と尿酸の排泄

2023年9月27日(水)

1.Introduction
 9月22日(金)ごろから始まった痛風第2波では,症状は左ひざ(膝)関節に現れた。いわゆる膝小僧の上に,昭和新山みたいな盛り上がり(腫れ)ができて,膝全体の形状が右側の膝とは大きく違ってしまった。・・・で何が起きたのかというと,膝の曲げ伸ばしができなくなり,歩くのはおろか,布団の上で横になっているだけでも,左足がずきずき痛むという状況に陥った。これでは寝られない。

 右足の足指骨の付け根は,痛みはほぼ消えたが,ときどき思い出したように痛みが出る。左足の方は,まだ完全に板かまぼこ状態で,土踏まずには全然力が入らない。第2波の特徴は,左くるぶしの関節左膝の関節に水に不溶性の尿酸(uric acid)がたまり歩行困難となったしまったことだ。痛くはないのか?・・・そりゃ痛いです。

 人間,苦痛が去るとすぐに忘れてしまう。しばらくたってからまた同じことを繰り返して,あの時もっと注意しておけばよかったと後悔する。今度は,特に痛風の規模が大きかったので,痛風の起きるメカニズムを勉強した。痛風の起きる原因を簡単に書き留めておきたい。次に発作が来たら,動脈硬化に加え,脳梗塞か心筋梗塞を伴うだろうから,三途の川が確実に見えてくるに違いない。

 世間では,プリン体,プリン体とまくし立てているが,そもそもプリン体とは何か?実は私も十分把握していなかったが,プリン基を持つ窒素化合物で,核酸(アデニンやグアニン)の主成分である(図1)。プリン体は,生命維持に不可欠な窒素化合物で,生合成の場所は肝臓。古くなった分子や過剰に生合成された余剰分は,やはり肝臓で分解される。ヒト(Homo sapiens)の場合には,一旦尿素に変換されてから尿として外界に排泄される。尿酸は無害なので,尿素として外界に放出されると書いてある教科書や記事が多いが,事情は鳥類でもハ虫類でも同じではなかろうか?にもかかわらず,どうして鳥やトカゲは尿酸で排泄し,ホ乳類や両生類は尿素で排泄されるのだろうか?

 この問題は後日論じることにして,鳥類のウンチに含まれる白い部分は,非水溶性の尿である尿酸(固体)である(図3)。ホ乳類では,尿酸を体外に排泄できないかもしれないが,ぴよ吉は見事に尿酸の結晶を排泄できているではないか?野鳥では,尿酸をそのまま排泄できるため,尿酸値が高くなることはないのだろう。痛風の心配も無用ということになる。それとも,うんちの白い部分は尿酸ではないのだろうか?

 今度の発作では,手持ちのカードを2つ切った。でも,命の保証期間は半年といったところだろうか?保証期間を過ぎれば,次は何が起きるかわからない。

 オレンジのおしっこは9月25日(月)で止まり,通常の色に戻った。食欲は昨日(9月25日)からすこしばかり上昇。左足の甲の板かまぼこ状態は変わらないが,徘徊ぐらいはできるようになった。吉備中央町に入ると,集落の中や付近では、両手に杖を突いて懸命にリハビリに励んでいる爺さんの姿を見かける。あの姿とオーバーラップするぐらいに,回復はしている。ここで寝たきりになると,あとの仕事ができなくなる。ブッポウソウの研究も,十脚甲殻類の進化の研究も,琉球グレートバリアリーフの研究も,人に頼らずに完成させなければならない。

2.撮影に関する基本情報
<撮影者と所属>三枝誠行・近澤峰男(生物多様性研究・教育プロジェクト)
<撮影場所> 森林植物公園(岡山県),吉備中央町和中,兵庫県明石市など。                     
<撮影機材> EOS 7D Mark II(Canon)with 600mm Lens (Canon)。
<参考文献> Wikipedia:タンパク質生合成(https://ja.wikipedia.org/wiki/タンパク質生合成)

図 1.多くの食品に含まれるプリン体化合物。プリン体は食品として取り入れるだけでなく,体内(肝臓)でも生合成が行われることに注意。

表 1.食品のプリン体含有量(100g あたり)

図 2.モニターの上で思いっきりくつろいでいるぴよ吉。野鳥はくつろいでいるときには,体全体をとまり木(ここではモニターの上縁)に乗せている。物陰からそっと覗くと,モニターの上縁をちょこちょこ横歩きしてこちらを見に来る。手を頭の上で組むと,ケケケケと鳴きながら頭の上に飛んでくる。エサがもらえると思って飛んでくるのだろうか?それとも遊びの目的で飛んでくるのだろうか?もちろん,全然気にはしていない。

図 3.ぴよ吉のうんち。白く見えるのが水の不溶性の尿酸の結晶。皆様の体の中で尿酸をうまく排泄できなくなると,こういう白いのが関節にたまると関節炎(痛風)が発生する。心臓の血管壁にくっつくと心筋梗塞,脳の血管壁にくっつくと脳梗塞が起きる可能性が高くなる。くれぐれもご注意を。

図 4.和中(吉備中央町)の基地に居候している「華」。ホ乳類は尿酸の分解がうまくできないので,華にも痛風が起きる可能性は十分ある。
 華が居候をしている和中の基地は谷底にある。谷を 3 km ほど上ると,上田西という集落に出る。華は上田西の松田さんの家で生まれたのではなかろうか? 子猫の時に家族と一緒にいられない事情が発生し,松田さんの家を飛び出した。一人でとぼとぼと道なりに歩き,和中に到達したのではないだろうか?そして片山さんの家でオス猫と一緒に過ごしていたと思われる。もう 8 年ほど前になるが,和中に敷地を借りてプレハブ小屋を建てた。その時に,恐ろしいまでの形相で「私を飼え!」と懇願してきた華を,追い払うことはできなかった。華は1コだけ(寅吉)子供を育てたが(同じ年に避妊手術),寅吉は県道 31 号で車にひかれて死んだ。今はもう身寄りはないが,一人で気楽に生きている。華はもうここ(和中)で一生を送ることを決めていると思う。

図 5.サンゴ礫に体をうずめるクルマエビの一種(種名は不明)。西表島の干立の浜で撮影したと思う。エビやカニの体にはプリン体が多く含まれるが,そのすべてが自分の体内(中腸線)で作られているか,他の生物(植物プランクトンや動物プランクトン)を食べて,中に含まれているプリン体を中腸線に蓄えているかもしれない。以前に「肝膵臓」(hepatopancreas)と呼ばれていた十脚甲殻類の器官(いわゆるカニみそ)は,脊椎動物の肝臓や膵臓のような機能は持ち合わせていないことがわかっている。・・・となると,エビ・カニ類では,体内に「うまみ成分」を合成する器官はないという結論になる。

図 6.アオゲラ。つかまっているのはホウノキ。実をつついているのだろう。平成 16 年 10 月 2 日,森林植物公園(岡山県)にて。

図 7.エゾビタキ(♀)。平成 24 年 10 月 1 日,岡山県(撮影場所は不明だが,森林植物公園で間違いないと思う)。私は森の中で見つけられないと思う。

図 8.アオサギのペア。大きなぼろ布が上から落っこちてきたみたいな感じ。平成 27 年 10 月 1 日(兵庫県明石市)。野鳥にもいろんな生き方がある。野鳥の尿酸排泄機構の分子生物学的研究は,脊椎動物の進化と人間の医療に大きな貢献をするように思える。

図 9.カシラダカ。とまっている木は,コナラかナラガシワ。平成 24 年 10 月 24 日,岡山県にて。多分森林植物公園だろう。

図 10.キビタキ。つかまっているのはタラノキ。キビタキの足根中足骨は,えらく細い。平成 27 年 10 月 14 日,岡山にて(多分森林植物公園)。

図 11.コウノトリ。平成 27 年 10 月 2 日。場所は豊岡(兵庫県)だろう。この頭蓋骨の形態は,ちょっと想像したくない。恐竜と同じ感じ。

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