生物多様性研究・教育プロジェクト自然環境レポート Series C, 2022(四季折々の自然の風景と野鳥) No. 1:冬のエサ捕り風景

令和4年(2022)1月7日(金)

 近澤峰男さんが撮影された写真ファイルをさらに見てみると,冬の野鳥の採餌風景がいくつか見つかった。ここでその一部を紹介したい。

図1.コゲラの採餌風景。樹皮の感じはクスノキである。コゲラが樹幹を移動しながら昆虫の幼虫を探す姿はよく見られるが,実際に毎日どれぐらいの数の幼虫を食べているのだろうか。平成27年(2015)12月24日。近澤さんのご自宅(兵庫県明石市)の周辺で撮影されたのであろう。撮影:近澤峰男。

 まずはコゲラ(図1)。公園でよく見かける光景である。樹木はクスノキだろう。南西諸島だと,クスノキ科のタブやヤブニッケイでは,カミキリムシの珍品が採集されるが,本州ではホシベニカミキリの幼虫がクスノキを食害する。クスベニカミキリは,クスノキには入らないようだ。本州ではクスの枯れ木を割っても,カミキリムシの幼虫はいないことが多い。

図2.アカマツの古い立ち枯れから飛び立つノスリ。細い枯れ枝の先につかまってエサを探していたのだろうか。平成27年(2015)12月29日。場所は不明だが,兵庫県三木市の美嚢川で撮影されたと思われる。

 次にノスリ(図2)。Wikipediaによれば,ノスリは平地から山地の森林に生息し,単独か雌雄のペアで生活する。食性は動物食。昆虫類,節足動物(ムカデなど),陸棲の巻貝(カタツムリ),ミミズを食べる。さらに両生類(カエル)やハ虫類(ヘビ)も食べる。他の鳥や小型哺乳類も食べるようである。この個体(図2)は,何を見つけて飛び立ったのだろうか。

図3.大きなブラックバスを捕まえたミサゴ。左足でブラックバスの頭部をしっかりとつかんでいる。ミサゴが魚を捕まえた瞬間や,捕まえた魚を運んでゆくシーンは,写真家好みの風景らしく,こんな写真を目にする機会が多い。ミサゴは魚を捕まえる名人なのだろう。川沿いでは,個体数も割に多いように見受けられる。ノスリと言いミサゴと言い,猛禽類は足が太い。体が重たいのであろう。平成26年(2014)12月13日。

 3番目はミサゴ(図3)。近澤さんは兵庫県三木市を流れる美嚢川(みのがわ)によくいかれて撮影されていたようだ。美嚢川のどのあたりまで行かれたかは不明だが,車だと,明石市にあるご自宅から30分から1時間も走ればフィールドに着いたのではなかろうか。

図4.オオタカ。つかまっている枝は,シデかニレか,そのあたりの樹木だろう。撮影場所は不明。さすがにオオタカになると,植生から撮影場所を推定することは無理である。割に山の方であることは間違いない。幹の影が背中に写って,何だかたすきをかけているようにも見える。平成26年(2014)12月3日。

 図4は,シデかニレか,そんな樹木の枝にとまるオオタカを示している。

 吉備中央町から宇甘川沿いの県道31号を御津町の方に下りてゆくと,途中に虎倉(こぐら)をいうすごい名前の集落がある。虎倉の集落から31号に出るところの道路わきで,大きなレンズを構えて写真を撮っているじいさんたちがいる。近澤さんによると,オオタカがよく出るので,それを撮影に来ているとのこと。乗っている車はかなり高級車で,レンズやカメラもかなりの優れものである。結構金持ちのじいさん方のようだ。野鳥だけでなく昆虫も同じく,そういうじいさん方に山で出会うことが多い。・・・が,何か話しかけても何も教えてくれない。

図5.アカマツの立ち枯れにとまるオオワシ。なで肩で,頭部には似つかわしくないでっかいくちばしを持ち,表情は何か間の抜けた感じが漂う野鳥であるが,性格は獰猛なのであろう。おそらくこの位置から100mを越える距離で撮影したと思われる。平成25年(2013)12月25日,湖北で撮影。撮影者:近澤峰男。

 図5は,アカマツの立ち枯れにとまるオオワシ。撮影は,平成25年(2013)12月25日,湖北あるから,近澤さんはこの年クリスマスの日に滋賀県の琵琶湖まで行かれたのだろう。

 遠くから「お前は本当にオオワシか?」と問うたら,「おお・・・わしか?オオワシじゃ・・。」なんて言う「おやじギャグ」が返ってくるかもしれない。すみません,オオタカもオオワシもよく知らないので,じいさんギャグを連発して場をしのぎました。近澤峰男さんは,いつも一人で撮影に行っていたと思う。私も,何かやるときには1人でということが多い。

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