生物多様性研究教育プロジェクト・リサーチレポート 四季折々の自然の風景と野鳥 No. 11:アオバズクのいた長法寺は津山市にあり

令和4年(2022)12月6日(火)

 近澤峰男さんが撮影される写真のポイントは3つあると思う。ひとつは,単独で狩りをしている猛禽類と木の実や草の実をついばむ小鳥たち,二つ目はペアや集団で羽を休める鳥たち,そして3つ目は自然の風景である。私は,近澤さんの撮影された数多くの写真の中で,鳥たち自体の姿も好きだが,鳥たちが生きている自然環境の写真も大好きである(図1)。机に向かって近澤さんの写真ファイルを開き,モニターに映し出される多様な自然環境を眺めていると,自分がこれから何をやらなければならないか,自然の中に湧き上がる泉のように心の中にあふれ出てくる。近澤さんの作曲した原曲(写真)に歌詞(解説)をつける作業をしていると思っていただけばよいだろう。自分はこういうことに向いている気がする。

図1.近澤峰男さんが訪れた中国地方の山々と野鳥の生息地や飛来地。Google mapを印刷し,スキャンした画像ファイルをパワーポイントに入れて,文字や記号を入れた後にJPEGファイル交換用様式で保存した。画像のオリジナルは1.90Mb,JPEG交換様式で保存したJPEGファイルは92.8Kbになった。

 まずは,鳥取県米子市にある中海(図2)。近澤さんのご自宅(明石市)からだと,まず中国自動車道に入り,岡山県の落合JCTから米子自動車道に入る。蒜山や大山の雄姿を右に見ながら自動車道を終点まで行き,米子ICで降りる。それから国道181号に入り,さらに県道47号に入れば,米子ICからは20分もかからずに到着する。近澤さんのお宅からだと,3時間といったところだろうか。近澤さんは早起きなので,朝3時か4時に家を出ると,6時か7時ごろには目的地(水鳥公園)についていただろう。

 ちなみに,私の方は県道47号を使うことはないが,毎年12月中旬になると,国道181号から国道431を通って境港(さかいみなと)まで行く。私の住んでいる岡山市からだと,岡山自動車道を使い,落合ICから米子自動車道を使えば,米子ICまでは2時間もかからない。

 岡山自動車道と米子自動車道は,昔はよく利用していたが,高速料金が高い。最近は吉備中央町を通って美作落合から中国勝山まで行き,そこから近道をして国道181号に入る。さらに四十曲峠(しじゅうまがりとうげ)を越えて鳥取県に入り,米子まで行くコースを使っている。

 時間があれば,新庄村(しんじょうそん)から野土路(のとろ)を通って蒜山に抜け,大山を経由して米子に出ることもできるが,四十曲峠を越えるのに比べて2時間ほど余計にかかる。ほとんどは,野土路の分岐点(新庄村)まで来て,野土路に入らず181号をそのまま直進する。

 私は米子水鳥公園(図2)には行ったことがないので,冬にどんな野鳥が来ているのか知らない。近澤さんの写真ファイルの中にも,水鳥公園で撮影された画像は今のところ見つかっていない。

 岡山県でも,水鳥公園のようなところはあるのだろうが,私はそのような施設には行きたくない。米子水鳥公園がそうかはわからないが,こういうところに行くと大概は常連のじいさん方が居座っていて,とにかく話すことと言えば,自分の自慢話と他人の噂話のどちらかである。人間は年を取るとどうしてこんなになるのか不思議ではあるが,そういう方々は多分若いころから同じ傾向があるのだろう。加齢の問題ではないと思われる。

 私の周囲にもかつて他人の噂話(いわゆるゴシップ)が大好きな女性がいた。他人の欠点や不遇を不敵な笑いを浮かべて話すしぐさには,カリスマ性が高いといえば聞こえはいいが,本当は重度の発達障害を患っている可能性を強く感じた。しかし面と向かっては言えなかった。

図2.米子水鳥公園とアシ原。建物の中には何人か撮影者がいるようだ。撮影時期は不明だが,冬だろう。

 近澤さんは,米子水鳥公園のようなところも利用されていたようだが,撮影された写真を見ると,ご家族といるとき以外はすべて単独で行動していることがわかる。どんな野鳥や自然環境がみられるかは,他人から情報を得るにせよ,その場所には朝何時ごろ出発してどの道を通ればよいか,装備はどうするか,などすべてご自分で決めていただろう。いい写真を撮るためには,集団行動は向かない。人それぞれに写真に撮りたいシーンが異なるからである。一人のわがままを集団の中で発現させることは,普通の感覚だとすごくやりにくい。

 自分の好きな季節に好きな山に登りたい。自分の好きなところで下車して,納得行く写真を撮りたい。みんなはいっしょにお弁当食べたいだろうが,自分は面倒なので途中でパンでも買って,好きな時間に食べたい。・・・となれば,自分で車を購入し,スケジュールは自分で立て,単独で行動せざるを得ないだろう。私も近澤さんと同様に単独で活動する習慣が身についている。人を連れ行くと,気を使いすぎて自分のやりたいことができなくなる恐れがある。

図3.氷ノ山の林道の途中でみた紅葉。正面奥の樹木はブナ。左の黄色い葉はケヤキかクリ。こういう景色は単独で活動していないと撮ることが難しい。集団行動では,「おい,景色がきれいだから写真を撮りたい。ちょっと車を止めてくれ・・・。」とは,なかなか言えない。近澤さんの愛用車は,スズキのジープだったようだ。(2017年ごろ以降はトヨタのハリアーを使用。)2013‎年‎2‎月‎18‎日(更新年月日)。撮影は2012年10月中旬から下旬の撮影だろう。

 図3は,米子水鳥公園からずっと東に飛んで,兵庫県と鳥取県の県境にある氷ノ山(ひょうのせん)の林道の風景である。氷ノ山の標高は1,510m,兵庫県の最高峰である。中国地方では大山(標高1,729m)に次ぐ2番目に高い山である。ちなみに岡山県と兵庫県の県境にある後山(うしろやま)の標高は,1,344mである。また,中国地方の山々は「・・・山(さん)」ではなく,「・・・山(せん)」と呼ぶところが多い。

 氷ノ山の林道は舗装されてはないが,よく整備されているようである。写真(図3)が撮影された頃は,近澤さんはスズキのジープを使われた。いつトヨタのハリアーに乗り換えたのかは知らないが,2016年か2017年ごろと思われる。ハリアーだと高速道路の走行では,軽自動車に比べて精神的疲労度は大分違うだろう。

図4.日名倉山の頂上から望む藤無山(右),氷ノ山(中央),後山(左)の遠景。後山(字が見にくい)から左に視線を移してゆくと大山,烏ヶ山,蒜山を望むことができると思う。写真手前はササの群落(種名は知らない)。

 図4は,岡山県と兵庫県の県境にある日名倉山(ひなくらさん)からの遠景である。日名倉山の標高は1,047m。車で国道373号を北上し,上石井で県道556号へ入る。10km北上すると奥海乢(おねみたわ)に着く。さらに進むとベルピール自然公園に着く。ベルピール駐車場に登山道入り口があるようだ。10分で林道分岐,40分で林道の離脱点に着く。5分で登山道に達し,20分で一ノ丸,10分で二ノ丸,さらに10分歩けば山頂(三ノ丸)に出る。下りは,30分でベルピール駐車場に到着するが,奥海乢に車を置いていればさらに30分余計にかかる。

 ベルピール駐車場から往復すると,上りに1時間半,下りに30分,計2時間という短時間で制覇することができる。これならば家族でもずいぶん楽に頂上まで行くことができるだろう。近澤さんが訪れたのは,平成24年(2012)の夏だったのではなかろうか?

 2012年と言えば,私の方は,ブッポウソウの研究をめぐってトラブルが拡大した年であった。そのころに近澤さんに巡り合ったら,大変なご迷惑をおかけする事態になったであろう。近澤さんに初めてお会いしたのは,平成29年(2017)の夏で,この頃はもうトラブルは終息していた。干渉がない状態で研究を進められるようになったところに,野鳥の生態や行動をよく知っている近澤さんから多くの情報を入手できたことで,研究は飛躍的に進歩した。

 私は,40年近く前になるが,日名倉山には登ったことがあるかもしれない。牧場みたいなところを突っ切ってから登山道に入ったような記憶がある。そこがベルビール自然公園だったのだろうか?尾根筋に出るまでにずいぶん時間がかかった気がする。岡山市からだと,西粟倉村の方はすごく時間がかかるので,もうほとんど行く機会がない。

 図5は福地渓谷(図1)の写真である。福地渓谷も明石市からだと,2時間以内に目的地に着くだろうが,私は何時も下道を通るので岡山市内からだと3時間以上かかるだろう。

図5.福地渓谷の渓流。アマゴがたくさんいそうだ。2012年10月ごろの撮影と思われる。

 福地渓谷の渓流(図5)とよく似た写真は,インターネットを見ればたくさん出ている。カメラを三脚に固定し,焦点深度をできる限り深くして,シャッター・スピードを2秒か3秒ぐらいに設定して内蔵のタイマーを使って撮影したと思われる。

 使用したカメラの機種は不明だが,近澤さんはこのころはまだSONY RX10Ⅲはお使いになっていなかっただろう。2012年だとCanon EOS 7Dが,確かこの年に製造中止になっていると思う。製造中止になる前に購入されたではないだろうか?この時(図5)はEOS 7Dをお使いになったかと思われる。SONY RX10Ⅲを購入されてから,風景や近くの野鳥はRX10Ⅲで撮影されたのだと思う。そして,それまでお使いになっていたEOS 7Dは,新たに購入した600mmレンズをくっつけて見事な野鳥の写真を撮影されたのではないだろうか。

 SONY RX10Ⅲも現在(2022年)は製造中止になっているだろう。RX10Ⅲも優れモノのカメラであるが,レンズ・ボディ一体型であることと,ファイルサイズを小さくすると晴天時の空がとんでもないモザイク的な雰囲気に変わるという難点がある。ズームの機能があるので,昆虫の撮影にはすごく合っているカメラだと思う。しかし,背景に空が写る機会の多い野鳥や風景については,あまり向いていない。そういうことが原因かは知らないが,中古の数は少なく,また中古でさえもいまだに高価である。

 一方,EOS 7Dの方は,新品は20万円ぐらいだっただろう。たくさん売れたようで,中古もたくさん出回っている。カメラのキタムラで,新品に近い状態のカメラをお手軽な値段(27,000円から28,500円)で購入できる。EOS 7Dは,邪道な利用法かもしれないが,顕微鏡にくっつけてよい写真が撮れることが判明し,私のところでは現在4台を使用中である。

 図6は千町ヶ岳山頂から望む段ヶ峰の遠景,そして図7が段ヶ峰の頂上で記念撮影をしている近澤さんのお姿である。そして,図8がアオバズクを撮影した長法寺。岡山県津山市にあるとは知りませんでした。

図6.千町ヶ岳の頂上から望む段ヶ峰(左側のなだらかな山)。撮影は2012年10月上旬と思う。

図7.段ヶ峰(1103m)の頂上に立つ近澤さん。2007年7月22日。

図8.長法寺と境内。大分画像が荒れている。元のファイルサイズの写真(6.19Mb)はresolutionがよく,風景がきれいに映っている。アオバズクは正面のクスの巨木の枝につかまっていた。近澤さんの写真(原曲)は素晴らしい。私のように文章のうまくない生物学者の作詞が迷惑でないならば,これからも続けてゆきたい。ただ,私の方はたいそう口が悪く,しばしば脱線もする。その点はお許し願いたい。

<参考文献>

  • 氷ノ山 YAMAP 2022.(https://yamap.com/mountains/72)
  • 日名倉山 YAMAP 2018.(https://yamap.com/activities/2309867)

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