ブッポウソウ総合情報センター・ニュース:中山良二さんの研究(その4)ブッポウソウの巣箱は毎年清掃の必要あり

 多くの方々がすでによくご存じのように,ブッポウソウは自分では子育てのための巣(nest)を作ることはしない。オオアカゲラが一度使った巣を再利用したり,神社の境内にある大きな木の樹洞(cavity)や,垂直になっている中空の構造物があれば,そんなところも子育てに利用するはずである。

 例えば,NTTの電柱は中空(直径10cmほど)になっている。管の中,30cmほどの深さに落下防止のストッパーを置き,その裏にワラを固く敷き詰めておけば(中途半端に詰めると,卵やヒナが落下して死亡する。)繁殖期にはその中に入って子育てをするペアがきっと出てくると思う。自立柱のてっぺんに雨除けみたいなものを作っておけば,なおさらよいだろう。

 しかしながら,今ではブッポウソウは人間が作った巣箱を使って子育てを行っている。しかも,巣箱は毎年同じものを使っているので,毎年更新する必要はない。

 なぜ同じ巣(箱)を使うかは,巣を作る場所を見つける時間と,巣をつくる手間が省けるからである。また,去年もそこで子育てに成功しているだろうから,次の年も同じ巣箱を利用すれば,成功する可能性は高くなる。同じ巣を使うというのは,多くのメリットがある。

 同じ巣穴を使うというのは,生物界ではよく見られる。自分の知っている範囲では,特に十脚甲殻類。エビやカニの仲間だが,実際にはずっと多くの分類群(taxon)がこのグループに含まれる。アカテガニ・ヤハズアナエビ・オキナワアナジャコ・トゲスナモグリ・イシアナジャコ・ノコギリガザミ。それにイセエビ類も・・・(こちらは巣穴と言うより,隠れ家)。みんな同じ巣穴や隠れ家を何年にもわたって継代使用している。100年以上にわたって同じ巣穴を少しずつ奥に掘り進めて使うというような生物もたくさんいるだろう。

 さて,ブッポウソウの場合には,1年巣箱を使えば,中にヒナのフンが大量に残り,しかも秋口や春には,スズメが入って巣箱に大量のワラを詰めてしまう。そうなるとブッポウソウは,その巣箱では子育てができなくなる。5月中旬ぐらいに,ワラやフンのいっぱい詰まった巣箱に行くと,すでにブッポウソウのペアが来ていて,私の姿を見るや否や,ケッ・ケッと強く鳴いて,巣箱の掃除を催促する。でも,いつまでもできないからね・・・。

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