ブッポウソウ総合情報センター・ニュース(8月27日号)

令和3年(2021)8月27日(金)

ブッポウソウはすごい勢いで増加。

令和3年度(2021)におけるブッポウソウの繁殖状況をお知らせしたい。

多様性プロジェクトの管理する巣箱は,吉備中央町をはじめ,高梁市有漢町,巨瀬町,川面町,新見市北房町,それに久米郡美咲町(江与味)におよぶ広い範囲にかけられている。いろいろな事情で,毎年取り外したり,新たにつけたりと,年ごとに数は5%ほど変動する。

この(8月27日)センター・ニュースでは,これらのうちの一部(吉備中央町,美原から上野周辺)において調査した結果を報告したい。

美原から上野周辺(Local area B)には,20コ程度の巣箱がある。それらの巣箱のうち,16コで調べた結果を表1にまとめた。巣箱はアルファベットと数字だけでは,どこにあるかすぐに忘れてしまうので,自分の覚えやすい名前を付けている。

<結果の要約>

・最初の産卵(初卵日)は,早いところでは5月15日,遅いところでは6月になった。多くは5月20日から5月30日の間に集中していた。
・ひとつの巣箱あたりの産卵数は,以前は4つが多かったが,最近は5つのところが増えている。(理由はまたいずれ説明する。)
・産卵からふ化までの期間は,22日間から25日間の間。ふ化しない卵については,メスがいくつか産んでから温めに入るので,産卵の間隔が広がると(例えば,1日おきだったものが,3日間空いてしまう)最初に生まれた卵(受精卵)はふ化しないことが多くなる。
・巣立ち日は,早いところで7月8日,遅いところで7月18日。全部で67コ生まれた卵のうち,56匹が巣立ったので,巣立ち率は83.5%。
・B-07とP-03は前からひとつのペアが使っていたかもしれないが,毎年トラブルあり。

<増加率の簡単な計算>

・繁殖状況を調べた16コの巣箱は,単純計算で16ペア(32匹)によって使われた。
・毎年ペアがどれぐらい入れ替わるのか不明だが,3割ぐらいと仮定する。7割は,昨年と同じペアが来ることになる。毎年入れ替わるのは,10匹程度と推定される。(ここは相当あてずっぽうな推定値。)
・毎年10匹程度しか入れ替わらないのであれば,渡りの時に命を落とす幼鳥が2割ほどとみなせば,毎年新しく15匹程度が巣立てば,個体群は長く維持されるだろう。
・上野‐美原周辺では,2021年は56匹の幼鳥が巣立った。今年(2021)だけでも,個体群を維持できる数の3.7倍(56÷15)が生産されている。

<結論>

計算に用いられた仮定は,かなりいい加減な数値であるが,個体群の維持に必要な生産数を相当厳しく(低く)見積もっても,毎年個体数は2倍以上の増加率になるだろう。

巣箱の掛けてある地域全部で,毎年個体数が倍,倍・・・と幾何級数的な増加率を示す場合には,10年後にはとんでもない数のブッポウソウが,吉備中央町に押し寄せることになる。

ダーウィンの言うように,食物(ここでは巣箱)の数は算術級数的にしか増えないのに対し,個体数は幾何級数的に増加している。競争というよりも,ケンカは激しくなるだろう。

吉備中央町に戻ってきても,巣箱にありつけず,小集団で放浪する個体が急増していると思われる。カラスの放浪集団のように,繁殖できずに集団で放浪する個体は,心が荒んで,人とのコミュニケーションができにくくなることが心配である。

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