1.Introduction
7月下旬になるとほとんどの巣箱で巣立ちが完了する。巣立った幼鳥(young)は巣箱の近くの雑木林に身を隠し,「カカカカカカカカカカカ・・・」という小さな鳴き声を発している。自分の居場所を親に教えるとともに,親からエサねだりをしているのだろう。幼鳥にいる林からは,時々親の鳴き声も聞こえるので,親は幼鳥に付き添っていると思われる。しかし,そんな幼鳥が5匹も巣立ったのでは,親が子供の世話に使う時間と投資するエネルギー(労力)は並大抵のものではなかろう。子育てというのは,ホ乳類だけでなく,野鳥にとっても本当に大変なことなのだ。
今年(2023)のブッポウソウの繁殖状況の調査は,例年より3週間ほど早く,7月21日(金)をもって終了した。ブッポウソウの個体数は,おそらく正常の範囲を超えて増加している。巣箱をめぐる個体間の争いは,高まるばかりである。ちょっと巣箱の警戒を怠ると,近くにいるブッポウソウが巣箱の中に入り込んで,産んである卵を持ち出して外に捨ててしまう行為が頻繁に目撃される。野鳥の卵(egg)は消耗品とは言え,これだけ頻繁に卵の持ち出しが起きれば,個体群の再生産に大きな影響があるだろう。
7月21日(金)は,高梁市中井町でK-05の巣箱を見た。卵は持ち出されて捨てられていた。帰りに湯武にある「魔の第一巣箱」を覗いた。ここも卵はふ化せず,持ち出されて捨てられた。湯武のブッポウソウは今年も全滅した。上田西にある池(R-03と松田さんち)では,かろうじて数匹が巣立ちに向かって成長していた。
7月22日(土)は,吉備中央町(県道31号)から県道66号に入り,そのままずっと北上して国道313号に出た。いつもは,右折して313号を久世方面に行くのだが,22日は左折して5分ほど走り,県道84号線に入った。途中で醍醐桜を見てから再び84号に戻り,月田を通って,国道181号に入った。国道181号を北上するとやがて新庄村の役場の建物が見えてくる。手前を右折すると北房川上線(県道58号)に入る。しばらく道なりに進む。
野土路トンネルを抜けると前方に蒜山三座が開けてくる。国道482号を左折し,道なりに行く。下蚊屋明神(鳥取県日野郡江府町)から県道(何号か不明)を10分も走れば,大山環状道路(県道45号)に合流する。なお,「下蚊屋」は鳥取県の難読地名のひとつで「さがりかや」というらしい。
県道45号をさらに登ってゆくと,左手に大山,次に烏ヶ山(からすがせん)が見えてくる。すぐに「休暇村奥大山」に着く。ここから県道45号を倉吉方面に降りてゆけば,15分ぐらいで「いわなや」に着く。
いわなやの「イワナ定食」はとてもおいしい。ただ予約が必要で,ラストオーダーは13:30。12時ごろにはまだ新庄村の役場の手前の道の駅にいた。道の駅から電話で予約して何とかOKをいただいた。すぐに出発してから,1時間足らずで「いわなや」に到着した。
2.撮影に関する基本情報
<撮影者と所属> 三枝誠行(生物多様性研究・教育プロジェクト)
<撮影場所> 吉備中央町上田西,真庭市別所,蒜山(真庭市),鳥取県関金町。
<Key words> 巣立ち,巣箱をめぐる個体間の争い,卵の持ち出しと破棄,醍醐桜,新庄村,蒜山,いわなや,いわな定食。
<撮影機材> Canon EOS 7DにTAMRON Zoom Lens (28-300mm F/3.5 Di VC PZD)を付けた。
<参考文献> 地理院地図/GSI Maps(国土地理院)
図 1.池の水面付近を飛ぶイワツバメ。水の上を泳いでいるアメンボ(半翅目)を捕まえているのだろうか,あるいは水飲み行動なのか?
図 2.水面から 30cm 上空を旋回中のイワツバメ。イワツバメの体形は意外とずんぐりしている。
図 3.水面に接触してから飛び上がるイワツバメ。時々水面につけるのは頭部(くちばし?),足,それとも胴体(胸)?
図 4.単子葉植物の枯れた茎にとまるコシアキトンボ。腹部第 1,第 2 体節が白いので,腰(?)が空いているように見えるということか?
図 5.水面に突進するイワツバメ(ブッポウソウにあらず。)。足やくちばしでは,こんな量の水を跳ね上げることできないだろう。また,高速で頭から突 進すれば,首の骨が折れてしまうかもしれない。やはり,胸からバシッ・・・と水に突入する可能性が高い。となると,水浴びの可能性が浮上する。
図 6.池の上を横断している電線にとまるブッポウソウのペア。写真の右下に R-03 の巣箱があり,このペアはいつも電線にとまって巣箱を見張っている。姿がばれないようにそっと池に近づくと,池の水面に降りてきて盛んに水遊びをやっている。私の姿に気づくと,すぐに林の中に逃げ込む。
図 7. 醍醐桜の前にある小さな集落(真庭市別所)。急斜面に家が建てられている。醍醐桜よりもインパクトが高い。子供たちはいるのだろうか?
図 8.醍醐桜。シーズンになると観光客が多く来るそうである。誰もいないときに見る桜の樹は,趣があってよい。ブッポウソウが来ているか不明。
図 9.下蚊屋明神から大山方面に上ってゆく道(鳥取県日野郡江府町御机)。奥大山ブルーベリーファームの付近。標高は 700m から 750m。
図 10.県道 45 号から眺める大山(1,729m)。写真右側が東,左側が西。標高 800m より上には広い面積のブナ林がある。大山のブナ林には何回も行った。
図 11.大山の手前にある烏ヶ山(からすがせん)(1,448m)。中国地方の山は「セン」と発音することが多い。一度頂上まで登ったことがある。
図 12.「いわなや」の養魚場。標高は 730m 前後なので,ブッポウソウは分布しない。ブッポウソウが来るのは海抜 600m 以下とされる。
図 13.「いわなや」の養魚場で飼育されているでっかいイワナ。釣って調理してもらったら 1 匹 3,000 円ぐらいしそうだ。
図 14.「いわな定食」。すみません,食べている最中に気づいて撮影した。マジでうまい。ニジマスになるとだいぶ安くなる。野生のイワナはきれい。
図 15.大山環状道路(いわなやと休暇村奥大山の間)。6 月中だったら林縁部は多くのゼフィルスで賑わっている。大山のゼフィルスは有名。
図 16.リョウブの花。これが咲くと真夏。大山だとオオヨスジハナカミキリやヨスジハナカミキリガ来ている。リョウブは県南部まで分布。
図 17.これは何か?虫が来ない花の名前はよく知らないが,吉備中央町でも見る。植物は,常緑広葉樹林帯と落葉広葉樹林帯で共通する種が多い。
図 18.スカシユリ。高梁市中井町で撮影。スカシユリは,吉備中央町や高梁市有漢町,中井町では多く見られる。花壇にあるのは栽培品種だろう。
図 19.ヒヨドリバナ。私はアサギマダラの花と呼んでいる。大山周辺にも真夏にアサギマダラが集合している草原があると思う。
図 20.フヨウ。これはフヨウでいいのだろうか?桃色や薄い青色の花をつける品種よりも少し遅れて咲く。吉備中央町で撮影。