生物多様性研究・教育プロジェクト 四季折々の自然の風景と野鳥 2023–No. 16: 5月下旬のブッポウソウ

令和5年(2023)5月26日(金)

1.はじめに
 5月25日は,和中(吉備中央町)に置いてあったブッポウソウ関連の展示品を持って吉備中央町の図書館に行った。どんなものかと言うと,ブッポウソウのパネル(7~8枚),近澤峰男さんが作成されたブッポウソウの木彫り,野鳥の図鑑,当日配布するクリアファイル等である。これらは,7月上旬(3回)に吉備中央町図書館で開催される「ブッポウソウの教材開発展示会」(名称は変更される)で披露される。それ以外に,入口においてブッポウソウの動画を流すパソコンも近々持って行く。最終的には,ブッポウソウの行動(動画)や音声を記録したパソコンを会場に4~5台置いて,子供たちに楽しんでもらえるようにしたい。なお,展示会では計3回の講演も予定している。

 当日は,図書館に着いた時にちょうど真上をブッポウソウのペアが南の方角に飛んで行くのが見えた。まだ巣箱を探しているペアがいるのだろう。前日の5月24日には,吉備中央町の南西側にある吉川,岨谷(すわたに),大和,北を回った。巣箱を探している最中のペアに出会った。又、巣箱に来たばかりと思われるペアもいた。ブッポウソウがいつ繁殖地に飛来するか,検証(verification)してみれば,ブッポウソウ研究家の「核心的発言」は,あてにならないことがよくわかる。そんなことよりも,どうやったら検証できるかが問題である。

 5月25日は,図書館に展示品を置いてから高梁市巨瀬町を回り,吉備中央町の豊野でも広範囲にブッポウソウの産卵状況を調査した。5月下旬によく見られるブッポウソウの求愛給餌(courtship behavior)を,行動学者の目を通して追ってみた。

2.被写体と撮影に関する基礎情報
<撮影者と所属> 三枝誠行・近澤峰男(生物多様性研究・教育プロジェクト)
<撮影場所> 吉備中央町,高梁市有漢町,巨瀬町。
<撮影日時> 令和5年(2023)5月25日(木)。
<Key words> ブッポウソウ,5月25日,巨瀬町,求愛給餌,巣箱,産卵,警戒音声,警戒飛翔,威かく行動。
<記録機材> Canon EOS 7D Mark II with Canon-600mm-Lens(近澤第2カメラ)。風景はSONY RX10Ⅲ(近澤第1カメラ)。
<参考文献>
・小西正一(1996)小鳥はなぜ歌うのか。岩波新書。
・Marler, P., and H. Slabbekoorn (2004) Narure’s Music: The Science of Birdsong. Elsevier.
・石井直樹(2020)Raven Liteを用いた鳥声分析入門。出版社(石井直樹)。

図1.巨瀬町(高梁市)にある巣箱K-04。中央の電柱にかけてある。今まではこの巣箱では,スズメとの戦いに負けることが多かった。

図2.巣箱近くにある社。この類の社(やしろ)は英語だとsmall shrineでいいと思う(Tiny shrineは?)キジムナーが時々遊んでいる。

図3.社への参道(と言っても20mぐらい)から見た巣箱K-04。ウメの木の下から巣箱へのブッポウソウの出入りを観察できる絶好の場所。

図4.巣箱K-04のすぐ近くの電線の上で求愛給餌(courtship behavior)を行うブッポウソウのペア。メスに渡しているエサは,この時期多く発生するコアオハナムグリより小さい甲虫。巣箱の前を登って行く道から写したので,空がバックになり,ブッポウソウの姿は黒くなった。しかし,見たいのは求愛給餌行動であり,渡している甲虫の種類である。モノクロに近い写真でも全く問題ではない。

図5.求愛給餌を終えて新たに昆虫を探しに飛び立つオス。今年はこの巣箱(K-04)でも,ヒナの成長や親のエサ運びに関する多くの写真を撮ることができるだろう。

図6.ネムノキの枝にとまるブッポウソウのペア。背景に林があるとブッポウソウの羽毛の色がきれいに出る。

図7.求愛給餌のためのエサ(主に甲虫類)を探しに飛ぶブッポウソウのオス。私に気づいて逃げた,という感じではない。体は痩せている。

図 8.ブッポウソウのオス(図 7)の拡大写真。色はきれいになるが,得られる情報量はイマイチ。背景が広い方が情報量もずっと多くなる。

図 9.ヒノキのてっぺんにとまるブッポウソウのペア。求愛給餌をしたり,交尾をしたり・・・。ボーとしている時も多い。

図 10.巣箱 N-03 と N-07 の間にある四角錐の墓。「故陸軍兵長 父甚蔵 母サキ 松森市五郎 行年 28 才。昭和 19 年(月日は読み取れない) ビルマ戦死」と刻まれている。私の心の中では,ブッポウソウ,四角錐のお墓,神社や社は抱き合わせになっている。ただし,私にとって,ブッポウソウは野鳥の 1 種であり,当然ながら「仏法僧」のイメージはない。キジムナーは仏法僧と書けるだろう。また混乱を作り出してしまった。

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