生物多様性研究・教育プロジェクト・リサーチレポート 攻撃と防御の十脚甲殻類 2023–No. 3 土佐市内の雪景色 

令和5年(2023)1月8日(日)

 令和4年(2022)12月21日(水)には四十曲峠を越えて米子に行き,それから境港に行った(攻撃と防御の十脚甲殻類2023–No. 2:年末の四十曲峠越え)。続いて,12月25日(日)には,瀬戸大橋を通って高知県須崎市にある池の浦漁港に行った。年始に記録を残しておかないと,もう書く機会は訪れないかもしれない。

 昨年12月25日は,朝8時30分に家を出た。境港の時もそうだったが,あまり朝早く出ると路面の凍結が解消されていないことがある。氷が解ける頃を見計らって出ると安心して走ることができる。また12月25日は日曜日で,瀬戸大橋と高速道路の通行料に休日割引がある。まず山陽自動車道に入り,早島から瀬戸中央自動車道に入る。瀬戸大橋を渡って坂出に出てから,高松自動車道に入る。川之江JCTから高知自動車道に入り,あとは道なりに行けば,2時間半ぐらいで土佐ICにつける。

 平日の瀬戸大橋の通行料は片道2,310円(往復4,620円)であり,休日は片道1,990円(往復3,980円)である。往復すると,640円安くなるが,値引き率は低い。高速料金は岡山IC–土佐IC間が,平日は片道3,660円(往復7,320円),休日は片道2,560円(往復5,120円)になる。高速料金は,往復で2,200円安くなる。トータルで往復2,840円安くなる。

図1.瀬戸大橋の通行(瀬戸中央自動車道)。12月25日(日)だとまだ車の数は多くなかった。撮影:SONY RX10。

図2.大野原・豊浜の出口(松山自動車道)。豊浜を過ぎると山がせり出してきて,平地が非常に少なくなる。

図3.松山道と高知自動車道・徳島自動車道の分岐点。左の道路に入って数分で高知と徳島方面に分かれる。

図4.高知自動車道(新宮から笹ヶ峰のトンネルに入る途中)。笹ヶ峰は雪景色。この辺りは積雪になることがある。

図5.笹ヶ峰トンネルの表示。全長は4,310m。標高は400mだったと思う。このトンネルを過ぎると高知県に入る。

 瀬戸大橋の通行料は高い。ゆっくりと景色を楽しみながら瀬戸大橋を渡る(図1)。また,瀬戸大橋は覆面パトカーがよく出没するので,周囲の車には注意する必要がある。瀬戸自動車道の速度制限は時速100kmだが,なぜか瀬戸大橋の上だけは80km規制になっている。ゆっくり走っているとよくわかるが,出没するとすぐに獲物が見つかるみたいだ。一度後ろに追尾されたことがある。と言っても,5秒ぐらいか・・・。2名乗車していて,2人ともすごく姿勢がよいので,何かおかしいとすぐ気が付く。ただ,今の車(中古のボクシー)は,側面と後方のガラスが暗いので,判別するのが難しい。

 瀬戸自動車道を抜けると,車は高松自動車道に入る。松山方面をめざして瀬戸内海の沿岸を30分ほど行けば豊浜インターがある(図2)。善通寺市,三豊市,観音寺市には平野があるが,豊浜と四国中央市の間は,海岸まで山がせり出している。トンネルを抜けると雪国ではない愛媛県に入る。5分も走れば,高知道と徳島道の分岐点(川之江JC)に着く(図3)。

 高知道に入るとすぐに法皇トンネル(全長3,123km)に入る。さらに3つトンネルと抜けると新宮に出る。新宮からは坂道になる(図4)。冬はこのあたりに雪が積もることがあるが,私が行ったときには路上と周囲には積雪はなかったが,笹ヶ峰は雪景色になっていた。

 坂を上りきると,高知道で一番長い笹ヶ峰トンネルに入る。笹ヶ峰トンネルの北側半分が愛媛県,南側半分が高知県である。笹ヶ峰トンネルを抜けると,やはり雪国ではなく,高知県である。たくさんのトンネル(行きは合計23コだったと思う)を抜けると南国ICに着く(図6)。積雪もなく,よく晴れて日差しの強さを感じた。

図6.南国ICの出口の表示。南国は「なんごく」ではなく,「なんこく」というみたいだ。

 高知県の山々も岡山県の山々と同じく,過去に広範囲に植林(afforestation)が実施されている。全山スギやヒノキに覆われているところも少なくない。スギやヒノキの合間を縫って広葉樹の帯が点在している感じである。一方,広葉樹が残る山々の景観は,岡山県の吉備中央町や岡山市内(龍ノ口山)とは,大きな違いを見せている。両者の間でどうしてそんなに景観が異なるか,記事の後半で説明するだろう。

図7.高知ICを過ぎて土佐ICに向かう途中の高知自動車道。トンネルを抜けると雪化粧の道や林だった。

図8.土佐市の地図。右上には土佐町,左下には中土佐町という地名もあるようだ。土佐市は,高知市と須崎市の間にある。池の浦は,横浪半島(図8の①)の真ん中あたりの太平洋岸にある。

 南国から5分も走れば高知ICに着く。御畳瀬(みませ)に行くときにはここで高速を下りるが,横浪半島にある池ノ浦漁港に行くには,もっと先に行ってから下りる方が近い。

 高知ICから先もたくさんトンネルがある。いくつか抜けると50km規制の表示があった。「なんでやねん・・・」といぶかしく思いながら進むと,道路わきに積雪が目立つようになってきた(図7)。高知市から土佐市に入るとますます雪景色が目立つようになってきた(図8)。

 土佐IC(図8の「土佐市」の右横に表示あり)で高速を下りると,まあ,あたりは一面雪景色になっていた(図はない)。土佐ICからは県道39号を南下すれば,宇佐(うさ)に着く。宇佐(図8の「現在地」と赤で表示されている地点)からは土佐湾が一望できる(図9)。天気良し。波はなく,穏やかな日であった。この写真には入っていないが,写真右手には室戸岬が見えた。

図9.宇佐から見る土佐湾の景色。奥にうっすらと見える山々の右の方に室戸岬がある。この辺りは降雪量が少なかったが,日陰の部分は凍っていた。ヤドカリを採集してもらう御畳瀬(みませ)漁協は,手前の山々の右奥。

 宇佐から横浪半島のグネグネ坂を登る。池ノ浦までは,30分ぐらいかかる。途中に土佐湾が一望できる展望所がある。図10は展望所から見下ろした横浪半島の自然植生を示している。横浪半島の植生は,常緑広葉樹が目立つ。具体的には,アラカシ,シイ,ホルトノキ,ユズリハ,クロガネモチ,タブ,ヤブニッケイ,カゴノキ等,冬でも緑の葉をつける種類が多い。

 一方,図13と図14は,岡山市北区にある龍ノ口山(256 m)の自然植生を示している。吉備中央町や岡山市南部の林には,コナラ,アベマキ(クヌギ),サワグルミ,ナラガシワ,ヤマザクラのような落葉広葉樹(deciduous broadleaf trees)が多い。

 図10と図13–15を比較すると,岡山県南部と高知県の沿岸部とでは,林の景観(landscapeでもいいが,viewとかsceneryという単語もある。)に大きな違いがあることがわかるだろう。つまり,林を俯瞰すると,高知(図10)の森は緑一色になるが, 岡山県では,冬は茶色になる(図13)。これは,コナラ・アベマキ・サワグルミのような落葉広葉樹が高木になって,樹木の幹や枝が林床に生える常緑広葉樹(evergreen broadleaf trees)を覆い隠してしまうため,全体としてみると,山全体が茶色に見えるということなのだろう。

図10,横浪半島の常緑広葉樹林(暖帯林)。常緑広葉樹が多いことがわかる。白く見えるのは積った雪。

図11.路面が凍結した道路(県道47号)。左の奥の方に見える林も,図10に示した林と感じが似ている。

図12.雪化粧をした集落(土佐市鷹ノ巣)。畑に植えてあるのはブンタン。路地物は1月末から出荷されるが,毎年値段が上がっている。去年(2022)は,4つか5つ入って1,600円の袋を,5つほど買った。

<参考文献>

  • 中島有美子・吉﨑真司(2018)西南日本における暖温帯の常緑広葉樹で構成される海岸林の群落型と立地条件について。日緑工誌 43(4): 596―604。
  • 難波靖司・波田善夫(1997)岡山県における植物分布要因の解析–特に森林構成樹種の分布とその気候的要因。岡山県自然保護センター研究報告5: 15–41。

図13.龍ノ口山の山腹の景観。NIKON COOLPIXで撮影(2023年1月7日)。当日はもやがかかっていた。

図14.龍ノ口山の自然植生。龍ノ口神社から降りてきたところ(西側斜面)。撮影:令和5年1月7日。

図15.龍ノ口山の自然植生。尾根にある散策路の分岐点と登り口の中間の場所から見た夕暮れ。15分で日没。

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