生物多様性研究教育プロジェクト・リサーチレポート 四季折々の自然の風景と野鳥 No. 10:自然環境を小さなファイルサイズながら迫力ある画像にする方法。

令和4年(2022)12月4日(日)

近澤峰男さんは明石市にお住まいだったので,当然なことかもしれないが,兵庫県の山々(図1)に登ったときに撮影された写真が多い。近澤さんは山に登った時に,いつも頂上で記念写真を撮影している。ご本人が入った写真があると,自然の風景をよりしみじみと味わうことができる。今回(No. 10)は,神戸港,山陽アルプス,須留ヶ峰(するがみね)の東にある大杉山,大杉山の近くにある天滝(てんだき)を紹介したい。

図1.兵庫県の南部から中部にかけての道路地図。スキャンした画像をパワーポイントに入れて,文字や記号を入れた後にJPEGファイル交換用様式で保存した。

 今回の私の方のテーマは,地図のファイルサイズをどのようにして縮小するかということである。前回(No. 9: 砥峰高原)の原稿執筆にあたっては,近澤さんが初期に撮影されたBMPファイルはすごく重たく,軽くするまでにずいぶん時間がかかった。また,自然環境の探索には,場所がよくわかる地図の添付が不可欠である。道路地図があると,自然環境に対するイメージが深まる。「近澤さんが撮影した野鳥はこんなところにいるのか・・・? どういう経路で,そんな深山幽谷まで行ったのか?」私はそんなことを想って近澤さんの撮影された写真を見るのがすごく楽しい。しかも,近澤さんが訪れた場所に私が行ったら,近澤さんが撮影したのとほぼ同じ場所で,非常によく似た景観を撮影したと思う。

 Google社の取り扱い規定を見ると,google mapやgoogle earthの地図は,営利目的に使用しないこと,大量に同じものをコピーしないこと,そしてgoogleの所有であることがわかれば,転載してよいとある。多様性プロジェクトの製作する出版物は,今のところ上記の規定に違反するところはないように思える。

 一方,google mapを切り取ってそのまま記事に張り付けただけでは,目的の場所を探すのに時間がかかる。地図の上に目的の場所を表示すれば,目的地にアクセスする方法を容易に見出すことができる(図1)。もちろん詳細については自分でインターネットを駆使して調べなくてはならない。

図2.六甲山の中腹から望む神戸港。神戸周辺は急峻な地形が多い。しかも道は狭くて曲がりくねっているところが多い。平成25年(2013)2月10日とあるが,撮影は平成24年の夏だろう。

 Google mapの上に目的地を表示するには,いくつかの方法があると思う。問題は図のファイルサイズを大きくしないことである。私はまずgoogle mapをコピーし,それをEpson GT-X900でスキャンする。スキャンしたファイルをパワーポイントに乗せて,記号や文字を入れる(図1)。ファイルをコピーしてパワーポイントに乗せるとファイルサイズがバカでかくなることに注意。原稿のトータルで6Mbぐらいに抑えないと,なぜか送信時のサイズが10 Mbを超えてしまい,メイラー・デーモンさんが出現する。つまり相手側の着信拒否という事態になる。

 でき上ったパワーポイントの原図は,JPEG交換様式に変換して保存すればよい。それだけで200~300Kbぐらいの十分小さなファイルになる。ちなみに,図1(google map)のファイルサイズはオリジナルが1.45MB,JPEG変換ファイルだと224Kbになる。

 近澤さんの写真はJPEGで保存されている。JPEGファイルを小さくするには,JTrimという使い勝手の良い無料ソフトがある。上段の「イメージ」をクリックしてファイルサイズを指定し,名前を付けて保存すればよい。図2は,オリジナルが428Kbなので,そのままでもワード文書に張り付けられるが,この記事の目的を考慮して,JTrimで200Kbにしてみた。

図3.小野アルプスに立つ近澤さん。場所は不明。平成25年(2013)2月18日とあるが,撮影は前年の夏だろう。

 図2は,六甲山の山麓から眺めた神戸港である。海の向こう側に見えるのは,小豆島だろう。

 さらに図3は小野アルプスに立つ近澤さん。小野アルプスというのは初めて聞く山の名前だが,兵庫県小野市黍田町の白雲谷(ゆびか)温泉から福甸(ふくでん)峠(下来住町)まで連なる丘陵の総称である。日本一低い山脈とされるとのこと。山脈という感じはなく,どう見ても丘陵だろう。標高は100~200mで,手軽なハイキングコースとして多くの人に親しまれているそうだが,途中でへたってしまう人もいるらしい。ご自分の体力とよく相談せずに,人から容易に登れると聞いて実行すると,途中で動けなくなることがある。

 昨日(12月3日)は,いつものハイキングコースである岡山市北区の龍ノ口八幡宮(標高は220m)まで登った。半分ほど下りかけた時に,登山道に座り込んでいたおばあちゃんと遭遇した。何でも,近くの人に龍ノ口八幡宮は楽に登れると聞いたので,いざ登ってみたら,石や岩がごろごろしていて,すごいのなんのって。これほどしんどいところは初めてと言われていた。やっとの思いで八幡宮にお参りしたら,宮司さんに日が暮れるから早く下りなさいと言われたとか・・・。まだ日没までに1時間あるから,とにかく急がずにゆっくり下りれば10分で登り口に着くからと言って別れた。最近はこんな方がすごく増えている感じがする。

図4.大杉山の頂上に立つ近澤さん。近澤さんの右側の案内板には,この場所が須留ヶ峰と表示されているが,須留ヶ峰はさらに奥に30分ほど行ったところにある。この場所は大杉山の頂上だろう。平成25年(2013)2月18日?

図5.大杉山の山頂(標高は1,040m?)。地面に落ちていたボードを立てかけて撮影したものと思われる。

 さて,話は近澤さんに戻る。雪彦(せっぴこ)峰山自然公園の一番北の方に須留ヶ峰(するがみね)がある。インターネットで調べると,標高は1.053mとなっている。図4は,大杉山の頂上(標高は1,040m?)に立つ近澤さんの写真である。拡大すると,左手をかけている標識には「養父町餅耕地へ」とあり,その右側は「大屋町宮本へ」とある。一番奥の標識には「須留ヶ峰,約30分」と書かれている。

 大杉山の山頂(1,040m)からは,兵庫県と岡山県の県境にある山々や,鳥取県にある大山(だいせん)までも見渡せるのだろうか?撮影日が同じ(2013年2月18日)なので,図6の写真は大杉山の山頂から撮った風景かと思っていたが,前面にある山(おそらく蒜山と思われる)の紅葉状況から考えて2012年の10月下旬の撮影と思われる。

 大山は写真の左側が登山口の方向だろう。右端の中央部に烏ヶ山(からすがせん)の頂上らしき構造が写っている。大山から烏ヶ山,そして蒜山の位置関係をそのまま東側に延長してゆくと,大杉山よりずっと南西にある山に行き着く。私の勘では,図6の写真は大杉山の頂上からではなく,兵庫県と岡山県の県境にある日名倉山(1,047m)の頂上で撮影したのではないかと思われる 。

図6.鳥取県大山(だいせん)の遠景。平成25年(2013)2月18日とあるが,更新日時がそうなのであって,実際に撮影されたのは平成24年の秋だろう。大山の前面にある山(多分蒜山)の景色から見て,10月下旬の撮影と思われる。撮影場所は,県境にある日名倉山の山頂(1,047m)の可能性が高いように思われる。

 Google mapで兵庫県の大杉山を調べると,蘇武岳の近くに表示が出る。しかし,図4と図5の写真から,大杉山は須留ヶ峰のすぐ近くにある。大杉山は,どういう経路でアクセスできるのか私にはよくわからない。

 大杉山の北西,直線距離にして10kmのところに天滝(てんだき)渓谷がある(図7)。天滝渓谷は養父市大屋町筏,県道48号線沿いにあり,紅葉の名所のようである。近澤さんは,真冬の時期に訪れている。山にこれだけ雪があるのだから,道路にもいっぱい残っていただろう。

 私は,岡山県と鳥取県の県境(四十曲峠)を越えられるのは,12月中旬までで,12月下旬から3月中旬までは,県北に行くことはない。近澤さんはスキーをやっておられたから,雪道には慣れていて,真冬に県北に行くこともできたのだろう。

 ということで,この記事を書き終えてファイルの大きさを調べてみると2.67Mbになっている。これならばPDFファイルをメールに添付してどこにでも送ることができる。受け取ったら即捨てられるところには送らない。それとファイルを作る時に,自分の社会的責任である研究や教育目的という視点を大事にしている。

図6.冬の天滝渓谷。平成25年2月18日撮影。道路は勾配が強く,部分的に凍っているだろうから,私は今使っている四駆の軽トラでも走るのが怖い。近澤さんはスキーをされていたので,雪道・氷道には慣れていたのだろう。

 山歩きをした時の楽しさを写真にして残したいと思う方々は多いと思う。ただ,インターネットで検索された写真を見ると,人物や景色が小さくて何をしているのかよくわからないものが多い。「やったー!頂上だ。」と言って記念写真を撮っても,写真そのものが小さいと,いまひとつ頂上感が伝わってこない。おそらく無料か有料のホームページ作成ソフトをお使いになっているのだろう。私は制限が多いお仕着せフォーマットは使っていない。

 MSワードを使えば,写真(JPEGファイル)は好きな大きさにアレンジできる。写真を小さくしてファイルサイズを倹約するよりも,大きいままでファイルサイズを小さくする方が,HPを読む人にとっては臨場感がより強く伝わるのではないかと思う。

<参考文献>
須留ヶ峰(するがみね)2016. 播磨の山歩きの会(http://2016hiroyuki.la.coocan.jp/surugamine.html)

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