令和4年(2022)のブッポウソウ情報 No. 8: 巣箱を利用するホシムクドリ

令和4年(2022)5月27日(金)

 インターネット(アマゾン)を通じて中古本を購入した。本のタイトルはPhysiological Adaptations for Breeding in Birds。著者はTony D. Williams, 発行年は2012,出版社はPrinceton University Press。著者の専門はペンギンのようである。

図1.Physiological Adaptations for Breeding in Birdsの表紙。エサを持って来た鳥の種類は,European Starling (Sturnus vulgaris)とあるから,和名はホシムクドリ。本は船賃も含めて約1万円。内容を見ればお得感は高い。

 ホシムクドリは冬鳥に分類されるが,日本に飛来する個体数は少ないようである(図1)。近澤峰男さんのお作りになったファイルには見当たらなかった。著作権の問題が生じるだろうから,この記事ではホシムクドリではなく,近澤さんの撮影されたムクドリを紹介した(図2)。

 本の表紙に載っているホシムクドリ(図1)は,巣箱を利用して繁殖しているようだ。写真からは,巣箱の大きさはわからない。後ろ足(と言っていいのか?)をかけているところが巣箱の入り口になると思われるが,穴はずいぶん小さそうである。足が短いところはブッポウソウと似ている。巣箱に運んできたエサは昆虫と思われるが,繁殖地の環境をよく知らないので,親の持って来たのがどんな種類の昆虫かわからない。(昆虫のような感じはする。)

 Physiological Adaptations for Breeding in Birdsはすごくいい本である。野鳥の繁殖を研究するには,生態学的視点ばかりでは前に進まない。生理学的(内分泌学的とも言える)視点が不可欠な時代に時代に入っている。私の仕事は,種内関係や種間関係が中心だった古き良き時代の生態学から,曖昧さ(ambiguity)や不明瞭さ(obscurity)を除くことである。

 日本では,生理学的視点で鳥類の産卵を紹介した文献は少ない。以下に日本語で書かれた総説を挙げておくが,インターネットでこの論文の被引用数を見たら,たった1件であった。

<日本語の参考文献>
今井清(2002)ニワトリにおける卵生産過程とそのしくみ。日本鳥学会誌 52: 1-12

図2.ムクドリ(grey starling)。学名はSpodiopsar cineraceusなので,ホシムクドリ(Sturnus)とはすごく近い類縁関係にあるという訳ではないのだろう。鳥もそうだが,生物を外見だけでグループ分けする方法はどうも自分の性に合わない。写真の個体は,平成25年(2013)2月28日に大阪市住之江区にある南港野鳥園(?)で撮影(近澤峰男)。

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