令和4年(2022)のブッポウソウ情報 No.2:シジュウカラの巣を50cm下に移した。

令和4年(2022)5月1日(日)

 吉備中央町の和中の谷(峰ピョン谷)は,湿気が高いせいか,樹木がよく育つ。毎年春から秋にかけて多くの種類の昆虫が発生している。野鳥も多く,今の時期(4月下旬から5月中旬)にはシジュウカラやヤマガラのペアが,子育てを行っている。

図1.峰ピョン谷の巣箱でふ化したばかりのシジュウカラのヒナ。卵は11コ生まれたと思う。10匹はふ化しているのがわかる。残る一匹はふ化したか不明。ヒナはいずれも目は開いていない。4月27日(巣を移動させた日)に撮影。

 ブッポウソウの巣箱では,昨年(2021)4月中旬にシジュウカラが産卵をした。ヒナは10日ほどしてふ化し,それから親がエサを持ってきて少し成長したころだったと思う。5月2日にブッポウソウが現れて,シジュウカラの巣を壊した。ヒナは外に放り投げたり,つつき殺されたりと,激しい攻撃を加えられた挙句,シジュウカラのヒナは全滅した。親も,ブッポウソウが巣箱に入り込んでいるときには,強い警戒音を発していたが,ヒナが全滅してからは巣箱に寄り付かなくなった。

図2.電柱に縦に並ぶ2つの巣箱。新しい巣箱をシジュウカラの産卵があった巣箱の下に設置し,シジュウカラの巣を巣材ごと上の箱から下の箱に移動させた。どちらの巣箱も内側と入り口にビデオカメラを設置して,行動をモニターできるようにした。令和4年(2022)4月27日。

 今年も,和中の同じ巣箱でシジュウカラが産卵をした。計11個の卵が産まれ,ふ化したのは4月25日ごろだったと思う(図1)。今年(2022)もブッポウソウは4月終わりから5月4日あたりまでの間にやってくるだろう。4月25日にふ化したということであれば,巣立ちは5月10日より後になると予想される。ブッポウソウが来たら,ふ化したヒナは去年と同様につつかれたり,放り出されたりして,殺されるのは目に見えている。そういうシーンのある映像は見たくない。

 今までの経験から,ブッポウソウは巣箱が2つあると,ほぼ確実に上の方の巣箱を使う。・・・ということで,巣箱の下にもうひとつ巣箱を設置し,上から巣材ごとヒナを下の巣箱に移した(図2)。

 やれやれこれでシジュウカラのヒナはブッポウソウに殺されずに全部巣立つ可能性が出てきたぞ・・・。

 ・・・と素直に喜んではいられない。大きな問題が残っている。それは,シジュウカラの親が下の巣箱に移った巣やヒナを自分の巣や子供たちと認識できるか,という問題である。

 元の巣箱の位置からどのぐらい離したら自分たちの巣と認識できなくなるかの実験はやっていない。(この野外実験をやると,動物虐待という強い批判が出る恐れがある。)水平方向と垂直方向では異なると予想されるが,1mぐらいならば何とか見つけ出せるが,2mも離れてしまうと親は放棄してしまうのではなかろうか,というのが私の予想である。

図3.あれれ・・・ヒナが消えた!古い巣箱に入っておがくずをつつき,ヒナを見つけようとしている親。4月28日。

図4.移した巣箱に来てヒナにエサをやるシジュウカラ。巣を移した当日(4月27日)は頻繁に古い巣箱に出入りしていたが,28日に見ると下の巣箱に入っていた。

 新しい巣箱を古い巣箱から50㎝下げて添架した結果では,親の方の認識(cognition)の問題はクリアできたようだ(図3と図4)。

 しかし,巣をヒナごと移動するという方法がうまく行くかはわからない。親は自分の巣を見つけることができて子育ては継続されるかもしれない。しかし,ブッポウソウは自分が子育てをする分だけでなく,すぐ下にある巣箱も「地ならし」をしてしまうかもしれない。巣箱同士の間隔(interval)を大きく開けてしまうと,親の方が自分の巣だと認識せず放棄することが多くなるが,逆に近づきすぎると上の巣箱と同じように産卵床の準備のために「地ならし」をされる可能性が高まる。

 ブッポウソウはシジュウカラを完全に無視しており,攻撃することはないので,新しい巣箱が地ならしされずに済むようなら,ヒナは全員巣立つことができるだろう。ブッポウソウがおバカな鳥でないことを期待したい。

 ところで,シジュウカラの親はどうしてあんなにたくさんの数の卵を産むのだろうか?多くの巣を見てみると少ない場合には6つ,多い場合には12コも産んである。今まで産卵数の違い(clutch size variation)に関しては大きな注意を払ってこなかったが,明確な原因があるように思える。私は今ちょっと変わった仮説を考えつつある。この仮説は,ブッポウソウの研究から派生している。まずはブッポウソウにおいてこの仮説をパブリッシュすべく,全力投球をしたい。

図5.満開になったオオデマリの花。4月28日,豊岡にて。白い部分は花弁ではなく,ガク。アジサイと同様,ガクの色が緑から白に変わる。白に変わったころが蜜が多く出るように思われる。しかし,撮影した4月28日には,吉備中央町から北房町まで足を伸ばし,花を中心に採集を行った。その結果,小さなコガネ(9mm, 0.03g)2匹,コメツキムシ(1.3cm, 0.06g)2匹,ミドリカミキリ(1.3cm, 0,05g)1匹,それにコアオハナムグリ(1.2cm, 0.18g)を1匹採集した。4月終わりには,甲虫は数えるほどしか採集できなかった。ブッポウソウの好きな甲虫類が多く見られるようになるのは,5月5日を過ぎてからと思われる。ブッポウソウの飛来は,明らかに甲虫類の発生開始の時期に同調している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です