ブッポウソウ総合情報センター速報(No. 46)

令和3年(2021)8月6日(金)

殺処分を免れたブッポウソウの幼鳥(美誠ちゃん)

7月28日に,巣立ち後に飛べずに道路上にいたブッポウソウの幼鳥が保護された。場所は,吉備中央町「北」1924-1。 国道484号の路上。10時ごろに保護。

<保護された後の幼鳥の状態>
図1.右足が変形。附しょ骨(足根中足骨)肥大。足指骨の形成異常。
図2.第一足指骨関する中足指に顕著な膨れ。
図3.右の翼のつけね(関節)にも異常が発生しているらしく,羽ばたくことができない。
図4.鳥全体に関しては,すごく元気がいい。羽毛の生え方は正常。

図1.保護されたブッポウソウの右足。最初は骨肉腫かと思ったが,
どうもそうではないようだ。7月29日。

この幼鳥は翼に傷があった。巣立ち後にカラスにつつかれたか,何か,例えば車,にぶつかったのであろう。現在(8月5日)は,傷は癒えている。足の形態も正常に近づきつつある。

このブッポウソウの名前は,美誠ちゃん。関係各機関のご協力により,殺処分(安楽死)あるいは放鳥は免れ,飼育することが可能になった。飼育場所は,ブッポウソウ総合情報センター(吉備中央町)だが,現在治療中なので公開はできない。幼鳥の段階で親から離れたため,単独で南に飛ぶことは無理である。終生飼養となる可能性が高い。

図2.保護されたブッポウソウの幼鳥。指の形状と指の基部の膨れが気になる。
図3.保護されたブッポウソウの幼鳥。右の翼に異常(傷)があって飛べない。

今後も同様なケースの発生が予想される。ただし,幼鳥が落ちている場合,ほとんど親が近くにいる。もし拾ったら近くの木の枝にとまらせてやれば,すぐに親が来て連れてゆく。
かわいそうだからと思って,幼鳥をしばらく自宅に隔離したり,捕まえて保護施設等に持ち込むことは避けたい。

保護施設に持ってゆけば,傷が治り次第放鳥になり,すぐに近くにいるカラスなどの野生動物につかまって食べられてしまう。幼鳥の場合には,放鳥と殺処分は結局同じ意味を持つ。それを考えれば,幼鳥を拾ったら,その場ですぐに放鳥してやる方が,長く生きる可能性はずっと高いことがわかるだろう。

図4。保護された直後の美誠ちゃん。野鳥は,見かけは元気そうに見えても,突然パタッと逝くことが多い。でも,美誠ちゃんは大丈夫だろう。・・・と,この前はそう書いたが,保護された別のブッポウソウ(こちらは成鳥)は1週間して死んだ。鳥の羽は修復能力が低いのかもしれない。重要な理由があると思う。

心配ならば,すぐにブッポウソウ総合情報センター(吉備中央町協働推進課)か中山良二氏に連絡して指示を仰ぐことができる。(電話番号に関しては,別途公開する。)中山氏ならば,幼鳥を見つけた場所まで出向いて放鳥してくれるだろう。私も何度か,拾われた幼鳥の連絡を受けて現場に行き,放鳥した経験がある。

繰り返すが,一番気を付けなければいけないのが,近くにいる親から離してしまうことである。この時期に親から離すのは,自分が捕まえた野鳥を自分の手で殺してしまうのと同じことである。そのような行為をしないよう,十分気を付けていただきたい。かわいそうだと思うなら,拾ったその場で放鳥していただきたい。

また,黙ってブッポウソウを飼育してもすぐに飽きてしまい,捨てられることが多くなる。岡山市内だけでも,毎年捨てられる犬や猫の数は半端なく多いことを,読者の皆さんはご存じだろうか。かわいそうと思いながら捨てるという人間の心理には,何か不吉なものを感じる。ブッポウソウも絶対に個人で飼育してはいけない。

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