ブッポウソウ総合情報センター速報(No. 42)

令和3年(2021)8月1日(日)

最終離陸態勢

今年(2021)は,ノートへの記載によると,4月11日から巣箱の掃除が始まった。200コを越える巣箱の掃除が終わる前にブッポウソウのペアが飛来してしまった。掃除は5月に入っても続き,巣箱の近くにペアでとまって,早く掃除をしてくれという催促の声(一部は人間から)があちこちで聞えてきた。緊急度の高い仕事(原著論文の作成)と掛け持ちしたので,掃除の作業は順調にはいかず,いくつかの巣箱では掃除をする前に産卵が始まってしまった。

巣箱の掃除は2年に一度でよいと高をくくっていたが, この判断は間違いだった。理由はおいおい述べることになるが,少なくとも昨年たまったヒナのフンや,スズメの積んだ大量のワラは,ブッポウソウが来るまでに取り除く必要がある。巣箱自体をトイレにしてしまうようなやつらでも,やはり巣箱は清潔でそれなりの広さがある方が,気持ちよく子育てができるのかもしれない。

5月10日からは,ブッポウソウの産卵を調べる作業に入った。早い巣箱では5月17日あたりから産卵が始まり,4~5コの卵が産まれた。6月10日過ぎから続々とふ化が始まり,25日間ほどの子育て期間を経て,7月7日あたりから巣立ちが始まった。産卵,ふ化,そして巣立ちは個体群内では極めて同調性が高いとはいえ,次から次へとやってくる。失敗して産卵をやり直すペアもいて,私の方は,毎年この時期(5月初めから8月中旬)は休んでいる暇がない。

巣立ちは7月20日を境に急に減少したが,それでも1割の巣箱ではまだヒナにエサやりが続いていた。最後にヒナが1匹だけ残る巣箱が多く,その中には親からの「巣立ちコール」があるにも関わらず,巣箱を出られないヒナがいるのではないかと予想したが,これはどうも外れたようである。親がいれば,最終的にはヒナのくちばしをつかんで引きずり出すような荒業を使っても,巣箱から出してしまうようだ。巣箱の中で死亡するのは,怖くて外に出られないからではない。原因はひとつではなく,いくつか複数の可能性が考えられる。

8月に入って,ヒナの残っている巣箱はわずか6コになった。大平山の周辺ではI-01(上有漢)とH-39(豊野),吉川が1つ(P-06),大和が2つ(F-05とE-17),北が1つ(妙1)。一日おきに北と南の両方を回っているが,どちらにしても最終的にはE-17(大和)に寄ることになるので,北回りのコースは結構な走行距離になる。

図1.I-01の巣箱(上有漢)。7月28日。ヒナは5匹いる。
図2.I-01の巣箱。7月30日。ヒナ4匹になっている。一匹巣立ち。

今ヒナが残っている巣箱の中で,センター速報No. 41(5匹のヒナがいる巣箱)で取り上げたI-01の巣箱のその後の状況をお知らせしたい。

I-01の巣箱では7月28日までは,中にヒナが5匹いた(図1)。7月30日に見ると,一匹減って4匹になっていた(図2)。さらに8月1日に見たら1匹しか残っていなかった。親の方は2匹ともやる気満々で,巣立ちコールを繰り返しながら上空を旋回していた。たまにオスは威かく攻撃にやってきた。(私の方は下しか見ていないので,反転するときに「ゲ・ゲッ」という大きな鳴き声で近くに来ていることがわかる。)

図3.I-01の巣箱(8月1日)。ヒナ1匹残っている。4匹巣立ち。

親がすごく警戒している巣箱は見ていて気持ちがよい。I-01は,8月1日の夕方か8月2日には巣箱は空になるだろう。両親がこんなにやる気満々なところはそう多くない。

一方,気がかりなのは,E-17の巣箱。一匹のペニョペニョヒナを救うために,親を遠ざけてしまった可能性がある。一方では,メスはそう簡単にヒナのいる巣箱を放棄するとは思えない。しかし,現実にあるかもしれない。あと1週間で私の判断が間違っていたかわかる。毎日行ってみて親が近くの電線にとまっていないか,まずはそっと遠くから見る日が続く。

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