【ブッポウソウ総合情報センター】速報(No.13)

ノコギリクワガタ,すでに成虫が羽化して活動しています。

令和3年(2021)6月18日

ブッポウソウの巣箱を回っていると,コナラやアベマキ(関東ではクヌギ)の木から樹液が出て,そこにクワガタムシやカブトムシを始めとして,昼間だと,ケシキスイ,キマダラヒカゲ,ルリタテハ,オオムラサキ,変なハエ類が樹液を吸いに来ている。夜になると,キシタミドリヤガ,ベニシタバ,ハネカクシ,地表付近だとマイマイカブリなどが来ていることがある。

図1.吉備中央町にあるアベマキの植林された家の庭。場所は教えられない。

6月15日に図1に示された場所を通りかかった際,クワガタムシはいないか探してみた。この場所にはアベマキが植えてあり(植林)下草はきれいに刈り取られていた。林の隣には人家がある。一見してわかるように,ここは雑木林というよりも,人家の「庭」の一部である。

里山では,アベマキ(クヌギ)は雑木というイメージが強いので,植林しても庭園というイメージにはなりにくいが(しかも木自体の整形もしにくい。)これだけの間隔を置いて植林し,定期的に下草を刈って清潔な感じを醸し出していれば,もう立派な庭園である。

向こうの(写真の奥の方)家に住むじいさんは,ちょっと変わった面白い人かもしれない。 反対側の小山の木(アカマツ,ソヨゴ,コナラ,アベマキ,サクラ)を伐採した後に,ケヤキとかタラとか,ヤマザクラを植林していた。これらが育つ前に,元あった木々が伸びてきて,結局は元の林と同じになってしまう可能性は高い。

庭園(図1)のアベマキの小木の樹皮は,結構はがれているところが多く,ちょうど樹液が出始めていた。樹皮の内側には,黒いクワガタが潜んでいる。今は,樹皮をはがすことはしないので(子供の頃はいっぱいやった)よくわからないが,コクワガタのオスだろう(図2)。

図2.樹皮と木部の間の隙間に入り込んでいるコクワガタのオス。
図3.アベマキの樹液に来たノコギリクワガタのオスとメス。

その隣の木の少し樹液の出ているところを見ると,ノコギリクワガタのオスとメスが来ていた。オスの大あご(いわゆる「角」であるが,構造的には大あご)はなかなか立派であり,幼虫の時には割と太めのアベマキの伐採木に入っていたのだろう。この家のじいさんは,昔から庭園(図1)を維持するとともに,周囲の木を毎年切っては近くに集めてある。つまり,クワガタムシが産卵する(数年たった)朽木は常に生息場所にあって,毎年コクワガタ,ノコギリクワガタ,ミヤマクワガタが発生している。

たぶん庭園を管理しているじいさんは,この庭をすごく大事にしていると思う。クワガタムシが毎年発生することもよく知っていると思われる。だから,この場所は人には教えられない。

図4.ノコギリクワガタのオス。RICOHのWG-50で撮影。RICOH, WG-10は水中カメラとしても使えるが,陸上生物の接写には非常に威力を発揮する。水中にいる生物の場合には,捕まえていったん容器に入れて撮影するのがよいが,海岸では太陽光が強く,コントラストが強くなるので,細かい部分を見ようとするとあまりいい写真にはならない。一方,クワガタムシやカブトムシは,生息場所でとるといい写真が撮れる。

クワガタムシを採りたい人は,この記事を参考にしたらよいだろう。クワガタムシやカミキリムシ,ムツボシタマムシなどは,もともと生息していた山を借りて(ただで使わしてくれる人はいると思う。)3つぐらいに分けた雑木林の区画を3年ほどの間隔をおいて伐採して,
伐採する雑木林の区画は,20m×20m(40m2)ほどの面積でも十分だろう。でも,同じ種類ばかりたくさんとっても意味がないか・・・。

もう相当前の話になるが,西表島の上原に「琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設」という長い名前の実験所(共同利用施設)がある。この施設の宿泊棟を作るときに,整地作業の一環として裏山の木を伐採した。宿泊棟が完成してから10年間,周囲に電気がついたこともあり,夜にはヒラタクワガタや多くのカミキリムシ(例えば,トゲウスバカミキリ,コゲチャトゲフチオオウスバカミキリ,ヤノヤハズカミキリ,ヒメカミキリ類,サビカミキリ類)が飛んできた。リュウキュウノコギリクワガやツマグロゼミは研究棟の電気によく飛んできた。小雨が降る生暖かい晩には,サキシマハブも構内にたくさん出ていた。サンダルを履いているときに,何回か踏みそうになったことがある。ヒラタクワガタ(小型)は今でも1~2匹であれば,玄関の電気に飛来する。

西表実験施設の例でみられるように,割と小さな範囲でも,定期的に伐採してクワガタムシの幼虫が入る朽木を維持し,伐採後にアベマキの小木が生えるようにしておけば,樹皮から染み出た樹液を求めて,多くのクワガタムシが集まるだろう。

中国地方の里山だと,樹液によく来るのは,ノコギリクワガタ,ミヤマクワガタ,コクワガタに加え,アカアシクワガタ,シカクワガタ,珍しいところでネブトクワガタがいる。

図4。クワガタムシ庭園の脇に生えたタラ。こうなると天ぷらにしても食べられない。

クワガタムシ庭園(図1)の脇にはタラが生えていた。これは植えたものではなく自然にはいたものである。タラは新芽や新葉(まだ伸び切らない状態の葉)は天ぷらにして食べるとすごくおいしい。てんぷらはどれも揚げたてが特にうまい。タラはいたるところに生えていて,新芽や新葉をとっても怒られることはないが,ヤマハゼだったか,よく似た木があるので注意した方がよい。特に子供に採らせるとやばいかもしれない。タラは,樹皮に棘(とげ)が生えるのが特徴で,道の駅やスーパーで売っているのは新芽だが,少し葉が伸びかけた状態でも十分天ぷらにできる。

山椒の若い葉もてんぷらで食べるとうまいらしい。あと,コシアブラの新しい葉については,この間どこかのテレビで放映されていた。アナウンサーはすごくおいしいと言って食べていたが,本当か?

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