一匹で巣箱を守っているブッポウソウ
6月15日(火)に円城から上田西,江与味方面にかけて巣箱の産卵状況を調べた。途中,上田東にある松尾神社の近くにある巣箱(H-32)の中を小型カメラでのぞいてみた。
巣箱の中には,(私が入れた)おがくずがそのまま残っており,卵はまだおかれていなかった。カメラを入り口から出そうとした瞬間,どこかに待機していたブッポウソウが飛んできて巣箱の近くにヒノキの上にとまった。
このブッポウソウの行動がおかしいのはすぐにわかったので,松尾神社の前の道路に移動して,道路の隅にカメラを置いて写真を撮った。図1は,RICOH, WG-50で撮影したときのブッポウソウである。カメラの位置からブッポウソウまで,86.5mの距離であった。画像はだいぶぼけているが,それでもブッポウソウであることはわかる。
さすがに86.5mも離れていれば,ブッポウソウの行動に大きな影響を与えることはなさそうである。
次の写真(図2)は,近澤峰男さんからお借りしたSONY, EX10Ⅲ(ボディとレンズ一体型カメラ)で撮影。距離は図1と同じく86.5mだった。結構いい感じでとれている。なぜかよくわからないが,ヒノキの実がきれいに撮れているときには,ブッポウソウもきれいに撮れている。
さらに図3は,やはり近澤さんからお借りしたEOS7D(CANON)に600 mm望遠レンズのついた重量のあるカメラで撮影された同じ個体である。さすがにこのカメラだと大幅な拡大に耐える(ファイルサイズは500 Kbに圧縮)。ヒノキの実もきれいに写っている。
画像の鮮明さについての比較はこれぐらいにして,ブッポウソウの行動の方に話を移そう。
H-32の巣箱の周囲を見てすぐに気が付いたことは,このブッポウソウはペアでなく,単独で活動しているということである。雌雄の判別はまだできていないが,オスの可能性が高いように思う。まだ,巣箱には卵が置いてなかったので,メスが産卵しているときに落鳥した可能性は低い。(3~4年前に江与味のM-01では,ペアができて,メスが1つ卵を産んだところで落鳥した。メスの落鳥があってから1か月にわたり,オスはM-01の巣箱を守っていた。)
H-32のオスは,メスが通りかかるのを待っているのだろう。くちばしと足の薄い橙色は,終生飼養のお墨付きを得ている「ぴよ吉」と同じレベルである。すなわち,巣箱の確保には成功しているが,まだメスが現れず,雄性ホルモンの分泌が十分高くなっていないことを表している。
お相手のメスが現れる可能性はあるだろうか?まだ可能性はゼロとは言えない。しかし,タイム・リミットが近づいていることは間違いない。
メスの産卵が一番遅かったのは,何年か前に有漢町のM-04で起きた事例である。直線距離にして100m少々しか離れていないところに,M-05の巣箱があり,そこのペアはM-05だけでなく,M-04まで占拠していた。そのペアは,6月下旬になって子育てが忙しくなり,頻繁にM-04を監視することができなくなったのだろう。その隙をついて,新しいペアがM-04を占拠することに成功した。
M-04における最初の産卵は,7月3日か4日だったと記憶している。これ以上後になると,性ホルモンの分泌活性が低下してくるため,産卵は難しくなるだろう。詳しいことは別の機会に説明するとして,オスとメスの出会いは6月20日あたりがタイム・リミットと推定される。
H-32の巣箱がどうなるか,変化があった時点で速報としてお届けしたい。