令和4年(2022)ブッポウソウ情報 No 32:多様性プロジェクトが提示できる観察場所は少ない。

令和4年(2022)8月17日(水)

 各地でブッポウソウの巣箱かけが始まってから,ブッポウソウの個体数は飛躍的に増加した。吉備中央町でも初めの頃は,巣箱は旧加茂川町に多くあったが,最近は吉備中央町の野鳥ということで,旧賀陽町の方でも巣箱が沢山架けられている。

 世間では,吉備中央町でどの団体がいくつ巣箱をつけたかとか,吉備中央町において全部で何匹の幼鳥が育ったかとか,そういうことに強い関心を持つ人たちがいる。

 現在(2022)吉備中央町にどれぐらいの数の巣箱があるのか,実は私自身も把握していない。多様性プロジェクトの巣箱は,研究が目的で添架されている。研究の内容は,年によって変わる。また,研究テーマが変更になれば,数も場所も大きな変更をせざるを得ない。いずれにせよ,大事なことは,ある範囲の総数が問題なのではなく,その年に自分が調べた巣箱がいくつあるかである。自分が調べた巣箱の数を母数(分母:denominator)として,変化が起きた巣箱の数(分子:numerator)を計算することにより,その年のブッポウソウの繁殖に関する特性がわかる。ある地域につけられた巣箱の総数(total number)は,考察(discussion)の対象外になる。多様性プロジェクトの研究が始まって10年近く経っており,全数は記録していない。

 ブッポウソウの産卵数は,吉備中央町では昨年だと平均4.3前後だったかもしれない。親の温めが遅れ,例年ふ化しない卵が多い。だから,実際にふ化したヒナの数は,毎年4.0ぐらいになるかもしれない。さらに,2年前(2020)は6月に低温と降雨が続き,ヒナが死亡した。いくつの巣箱で何匹死んだかはまだ集計が済んでいない。さらに今年(2022)は,湯武(ゆぶ)の巣箱では全滅した。親の方も少なくとも3匹が死亡したことが確認されている。上野から吉川では,4~5コの巣箱で,産れた卵が知らないブッポウソウによって割られたか,持ち出された。元の親が戻ってきて再び産卵したところもあったが,4~5か所の巣箱では,再び産卵することはなかった。今年(2022)は,吉備中央町においては,例年と比べて明らかに巣立ち数は少ないと思う。3.5前後の可能性もある。

 しかし,上にも述べたように,今年(2022)は多様性プロジェクトの巣箱では,いくつ卵が産まれ,そのうちいくつの巣箱で卵が持ち出されたか,あるいは割られたか,そしていくつの巣箱で再び産卵があり,卵数はどうだったかということは,一部の巣箱をのぞいて記録していない。ヒナの巣立ち数も,一部の巣箱しか記録していない。なぜ毎年正確に記録しないかというお怒りのお言葉を頂戴するが,今年はそういう調査をしなかったということである。

 言い方は悪いが,目的の違う人達(例えば,ブッポウソウを見世物にして町おこしを計画する人たち)には,データを隠していると見えるのかもしれない。もちろん,人物を特定して述べている訳ではない。

 組織が違えば,目的や目標も異なる。目的や目標が違えば,多様性プロジェクトとして社会に協力できることも限られてくる。それは仕方ないことだろう。しかしながら,世の中の組織には,権威とか有識者とかを利用して,自分の目的に協力させるように執拗に仕向ける者がいる。自分の思い通りにならなければ気が済まないのであろう。そのために権威とか有識者とかを利用すれば,何でもうまく行くと思っている者がいるとすれば,私は渾身の力を込めて噛みつくだろう。裏で糸を引いている者がいれば,逃げられる前に召し取る覚悟である。

図1.ブッポウソウの観察場所。アカマツの枯れ木にとまっているのは,おそらくB-08の巣箱で子育てを行った親だろう。近くに幼鳥の姿(3匹)もあった。なお,B-08の巣箱では,今年は3匹が巣立ちした。撮影:お馴染みのSONY RX10Ⅲ。ブッポウソウまでの距離は30~40mだが,これ以上近づくことはできない。8月3日撮影。

 さて,今回(No. 32)は,ブッポウソウの観察のできる場所の紹介について。観察と言っても,実際には皆さんの目的は,撮影することだろうから,撮影場所と言った方がよいだろう。図1と図2は,アカマツの枯れ木と枝にとまるブッポウソウを示している。撮影場所は,B-08の巣箱の向かい側の池の上にある小道沿いの草むらである。小道のすぐ後ろには民家がある。

図2.ブッポウソウは8月に入っても見られるが,子育ての時期を過ぎると羽は黒みを帯びてくる。左下の枝につかまっているのが幼鳥で,右上の枝にとまっているのが親(メスか?)である。この写真もブッポウソウから30~40mのところで撮影した。SONY RX10Ⅲでは,このぐらいの距離が限界である。撮影場所には何の覆いもない。B-08のブッポウソウは私に慣れているから,こんな距離(30~40m)でも撮影できることに注意。もちろん自慢したくて書いている訳ではない。池の周辺には,写真家が車を止めて長時間撮影できる場所がひとつあるが,教えたら問題が起きそうである。

 撮影者がどんな映像を入手したいのかよくわからないが,初めてくる人がこの場所に立ち入るとブッポウソウは遠くに逃げてしまう。しかも,道幅は狭く,車1台がやっと通れる程度である。車の駐車スペースはない。こんなところで車を道に止めたら住民の迷惑になる。ドイツやアメリカだったら,10分もすればパトカーが来る。こんな場所(図3)に観察小屋を設けて,たくさんのお客さんに来てもらおうと考えるのは,身勝手な発想だろう。トイレは道の駅か松尾神社まで行かないとない。

 都会から里山に来る人たちは,里山にすむ人たちがどんな思いで生活しているのか,(私を含めて)十分把握しているとは言い難い。だから,意図していようといまいと,里山の人々の感情を逆なでする結果になることはある。私の研究場所は,吉備中央町から高梁市(有漢町,巨瀬町,川面町),新見市北房町,それに美咲町と広域にわたる。都会もそうだが,里山の人々の性格も多様である。些細なことで大きなトラブルになることも多い。数は少ないが,機嫌を損ねると,とんでもなく怒り狂う「くそじじい」もいる。(大学や研究所にも結構いますがね・・・。NTTにもいた。)そういう所には,2度と足を踏み入れないことに決めている。

 私の場合には,5月初めから8月上旬まで,調査場所には雨の日を除いて,ほぼ毎日のように出動する。秋から冬にかけても,巣箱の掃除とか,他の用事で一日おきに行っている。何度も行けば,ここはカメラを置いても大丈夫なところとか,あそこのおばさんはうるさい人だとか,だんだん分かってくる。

図3.B-08の近くにある野生生物の観察場所。私が観察場所と呼んでいるだけであって,観察小屋は置いていない。こんな感じのところに私一人が長時間いても,地元の人には何も言われない。地元の人が私を怪しい人間ではなさそうと思っているからだろう。Acknowledge(承認するとか認知するとかの意味)しているかは,人によって違う。怒る人がいるところは撮影が難しいが,この付近の人たちは概ね優しくて親切である。B-08(この写真には写っていない)の観察は,図々しく人家の庭に入って行っている。もう何十回も観察を行っているが,この家のじいさんには1度しか会ったことがない。行動記録を取っている際に,突然ラジオ体操の曲が流れることがある。家の中に人がいることはわかるが,体操をしている気配は感じられない。この場所でケッ・ケッと声を出すと幼鳥と親が出てくる。

 図1と図2の撮影場所,および図3に示した池の隅は,ブッポウソウだけでなく里山の生物の行動がよく観察できる。撮影にはよい場所である。しかし,実際にはカメラを置いて長時間撮影できる場所を見つけるまでには,時間がかかる。うるさい人も混じっている。私は今まで,あちこちでずいぶん怒られてきたと思う。口ゲンカになることもあった。そういう事情を知らないで都会からきて,うっかり「因業じじい」(言葉は悪いが,実際に出会ってみるとそんな表現しか頭に浮かばない)に遭遇すると,里山に対する印象は大変悪くなる。だが,ちょっとした注意で里山の印象は大きく変わる。

 私が里山に関する記事を書くことによって,特に都会から来る人たちの里山に対する見方が変わることは間違いないだろう。

図4.「有漢どん詰まり」にあるフタ取れかけ巣箱。ここのブッポウソウは電柱の向こう側にある家のじいさんとばあさんにはよく慣れている。じいさんとばあさんが畑仕事をするときには,頻繁にエサを運んでくるが,私が軽トラから出て撮影しようとすると,途端にエサ運びをやめてしまう。多くの写真家や珍しいもの見たさに里山に来る人たちは,ブッポウソウの特性や人々の気持ちには配慮がない。というか,配慮が必要なことを「学習」(learn)していない。そういう人たちにすぐに強い規制をかける前に,都会の人々が里山という環境について,里山にすむ人々の生活を含めて学習する機会を設ける必要があるだろう。学習する気持ちのない人は,里山に来ない方がよい。

 次は,有漢どん詰まりにあるフタ取れかけ巣箱(図4)。100mほど上の方でコイの養殖をしているじいさんが架けたと思う。中電の電柱に登ると感電する危険があるよと何度か注意したと思うが,改善の兆しはない。まあ,後は自己責任ということでよしなに・・・。

 道の脇に畑があって(巣箱のある電柱からわずか5mの距離),そこでじいさんが草取りをしていても,ブッポウソウは平気で巣箱にやってきた。ところが,30m離れた林の陰に置いた軽トラから出て撮影しようとすると,途端にエサやりに来なくなる。ここ(図4)は,道に車を置いて舗装されていない小道を30mほど歩き,林の陰(ちょっと奥の方がよい)から撮影はできると思う。また,工事に来る人たちが泊まるプレハブの前は飲み物の自動販売機がある。自動販売機のあたりにもよい隠れ場所がある。SONY RX10Ⅲでもブッポウソウの写真が撮れると思う。この付近の人たちは,ブッポウソウの撮影に対しては好意的である。それでも止められる車は,せいぜい2~3台であろう。

 ここ(図4)は,多様性プロジェクトの指定する観察場所ではない。あくまでも自己責任で実行し.地元の人たちに怒られぬよう撮影していただきたい。一番いいのは,地元の人たちに声をかけることである。ちょっとお世辞を言うのもよい。とにかく,通りがかりのじいさんやばあさんにはひと声かけることをお勧めする。

図5.江与味傾き巣箱。ここのブッポウソウは近くにある巣箱に他のブッポウソウが入るのをすごく嫌う。100m以内に2個巣箱があるが,いずれも使われなかったか,最初は使われても追い出された。

 図5は,「江与味傾き巣箱」。ここも中電の電柱にかけてある。中電の電柱はやめた方がよいと申し上げたが,改善の兆しは皆無である。こんなに傾いた巣箱でもブッポウソウは普通に子育てをしていた。40mほど離れた道の脇にある小屋の軒下から撮影できる。ここのブッポウソウは,よく人慣れしていて,電柱の左にある倉庫から車が出入りしたり,巣箱の下をおばあちゃんが歩いていても普通にエサ運びをしていた。ここも観察場所として指定していない。

図6.有漢L-07の巣箱。対向車が来たら軽トラは鳥居の真下に移動する。ここはいくら待ってもエサ運びに来ない。

図7.上竹荘にあるB-13の巣箱(中央の電柱)。ここのブッポウソウは人慣れしているが,カメラには敏感である。

 もうひとつ大事なことは,里山においては私の立場はどうなっているのかということである。吉備中央町には,岡山市や倉敷市から結構多くの人たちが軽トラで通っている。農作業をする人もいれば,道の修理をする売る人たちもいる。私は普通車で通勤しているが,吉備中央町でやっていることは,研究という農作業の一種である。だから,里山における立ち位置としては,農作業やいろいろな工事を行っているじいさん達と同じである。つまり,私が研究をやっているときには,都会のじいさんではなく,里山のじいさんなのである。

 当然ながら,撮影に来て里山のじいさんに出会ったら,簡単なご挨拶ぐらいはしていただかないと気分を悪くするだろう。大学とか研究所の教員や研究員の中には,学生やアマチュアも含めて,簡単な挨拶(会釈程度)もできない人たちが多い。挨拶することは自分のプライドを傷つけると思っているのだろうか。そういうやつら(おっと,言葉が悪くてすみません)は,ことあるごとに私のことを空気読めないやつと言っているが.空気読めないのはお前らの方だろうが・・・。またまた,大そう悪い言葉使いになってしまった。

図8.案田(吉備中央町)にあるA-20の巣箱。巣箱とカメラの距離は40m。この場所は私しか撮影できない。

 図6は有漢町の神社の鳥居の横に架けられた巣箱の観察場所である。何と道路の真ん中にカメラとイスが置かれている。この道の通行量は1日数台,農作業をする軽トラや神社(後方500m)にお参りする人を乗せた軽自動車が通りかかる。対向車が来たら私の軽トラを鳥居の下に移動させる。特に怒られた記憶はない。
L-07の巣箱(図6)を使っているブッポウソウのペアは,どうも分業体制が確立しているみたいである。ヒナにエサをやるのは専らメスで,オスは不審者(私)が近づいたら激しい警戒飛翔と威かく攻撃をしてくる。オスは周囲を見張っていて,不審者が現れたらメスに信号を送る。すると,メスはエサ運びをやめてしまう。カメラの近くまで監視に来るという嫌なやつである。L-07では,良い写真は全然撮れていない。来年はリベンジしたい。

 B-13の巣箱は,吉備中央町の上竹荘にある(図7)。周囲は狭い道に囲まれている。小道の上にカメラを並べられたら,ブッポウソウはエサ運びを中断する。小道の上で撮影していても,住民に怒られることはない。しかし,ブッポウソウからは大変遺憾である旨を記した紙切れがひらひらと舞い落ちてくるかもしれない。

 ここのブッポウソウ(図7)は,親が2匹で警戒飛翔と威かく攻撃をする。ブッポウソウがうるさく鳴きだすと,住民が家の中から顔を出してこちらを見ている。そういう時にはジェスチャーで住民に簡単な合図を送ればよい。観察場所として指定している訳ではないので,撮影は自己責任で行うが,無茶な撮影が行われた場合には注意するだろう。

 繰り返すが,図1~図8に示した撮影場所は,いずれも私がブッポウソウを観察するために使っている場所であって,いずれもブッポウソウを撮影したいという人たちのために設けた場所はないことをご理解いただけるとありがたい。 

 さて,多様性プロジェクトが,ブッポウソウの撮影場所を提供する必要があるかを考えるにあたり,皆さま,特に写真家を自称する方々に私からひとつ質問をしたい。皆さまは,ブッポウソウの写真を撮ってどうなさるおつもりか?ファイルをしまっておくだけなのか?ホームページを設けてそこに掲載したいのか?はてまた,写真展に出そうと思っているのか?どこかに売って利益を得ようとしているのか?もっとほかの目的があるのか?等々。

 私がブッポウソウの研究を始めたころは,ブッポウソウについてresolution(解像度)の高い写真を必要とした。展示や講演ではresolutionの高い写真ほど大きなインパクトがある。私は形態学者ではないが,今までに多くの顕微鏡写真(光学顕微鏡,走査型電子顕微鏡,透過型電子顕微鏡)をパブリッシュしてきた。投稿する論文で何をどこまで言えるかは,写真のresolutionの高さと大いに関係する。Resolutionの高さは,新しい技術(technology)と密接に関わっている。新しい技術によって解析された生物現象では,今まで言えなかったことが言えるようになる。これはストレス解消になる。 

 生態学や行動学の研究には,高い技術など必要ないという人もいるだろう。実際に原著論文を見ると,いかに優れた論文であっても,写真のresolutionなど気にしている論文は皆無である。私は,最初は行動学者としてスタートしたが,しばらくして生理学,形態学,そして分子生物学に重点を移した。生理学や形態学の分野では,物にもよるが,resolutionの高い写真はより高い技術の証明であり,高い説得力が期待できる。要するにそういうことを「学習した」ということである。ブッポウソウにおいても,講演や展示のためにresolutionの高い写真を必要としていた。生態学者や行動学者から見れば,一種の「妄想」に近い発想になるかもしれない。しかし,私はそうは思わなかった。

 では,誰がresolutionの高い写真を撮ることができるか,またそういう写真を撮る場所はどこにあるのか?そのことを思い浮かべたときに,ブッポウソウの観察所を設けてresolutionの高い写真を撮っていただき,それを講演や展示に使うことができるのではないか? 私はしばらくその方向を追及してみた。

 結果は,予想通りというか,惨憺たるものであった。詳細を記して泥仕合が再現するのも困る。だから,結果のみを私の立場から要約すれば,写真家だけでなく,学生,アマチュア,専門家も含めて,およそ協力が得られるという状態にはならなかった。身勝手なのは,大学の教員も同様である。とんでもない男も混じっていた。やはり自分がバカであった。

 しかし,こういうネガティブな話は読んでも面白くない。私の方としても,そういう人たちがどの社会にも一定数混じっていることを皆様に理解していただければ,それで充分である。お前以外の者がやればうまく行くよ,お前がいるからいけないんだよ,とうそぶく輩がいるだろう。そういう方は,どうぞ私の邪魔をしないようにおやりください。私があなた方を頼ることは二度とありませんから,心配は無用です。

図8.大杉山(兵庫県豊岡市日高町)の頂上(1,007m)に立つ近澤峰男さん。2013年2月18日。

 ブッポウソウの研究は,紆余曲折を得て現在に至るが,長い間反対勢力に負けっぱなしであったが,2015年からようやくリベンジが始まった。トラブルは続いたが,最近やっと優れた共同研究者が現れた。近澤峰男さんのことである(図8)。しかも,近澤さんはSONY RX10Ⅲと600mmレンズのついたEOS7Dを貸して下さったことである。これで他人の手を借りなくても,ブッポウソウの良い写真を自分が納得するまで撮影できる立場に逆転した。

 私は,今まで写真家や,写真を撮りたいと都会から来る人たちに対し,どうしても遠慮せざるを得ない不利な条件を抱えていた。しかし,近澤さんの協力を得ることができたお陰で,そういう方々のご機嫌を取るために,撮影場所を設ける必要はなくなった。だから,現在(2022)観察場所として皆さんにお勧めできる場所はほとんどないし,これからも増えないだろう。

 今の時代は,あまり準備もせず,気軽に海や山に出かけて遭難する人が多い。(どこで引くかの判断が悪い?)里山に関する知識を持たず,ブッポウソウを撮影しようと思えば,事故や地元の人たちとのトラブルが多発するに違いない。撮影場所を設ければ,事故やトラブルが起きたときには責任問題が浮上する。ならば,撮影場所など置く必要はなかろう(図9)。

 結局,多様性プロジェクトの管理する観察所は,吉備中央町の美原集落センターだけである。巣箱の内外にはビデオカメラがつけてあり,巣箱の中のブッポウソウ(親とヒナ)の動きをリアルタイムでモニターしている。巣箱は,観察小屋から20mの距離なので,ちょっと近すぎる。覆いから出ないようにして撮影されたい。天福寺や妙本寺の境内でも撮影できるが,観察場所は置いていない。お寺に迷惑がかけずに,巣箱からある程度離れたところ(物陰)からブッポウソウを撮影する分には,大きな問題は起きないように思われる。なお,横山様は「訳あり撮影場所」つまり,目的のためには手段を選ばないやり方で作られた撮影場所である。記事の冒頭に書いたように,いくら良い写真が撮れると言っても,私はそういう場所は行かない。

図9.上竹荘にあるH-20の巣箱。近くに隠れ場所が全くない。オスの威かく攻撃は一番激しいところ。

 ブッポウソウを見たい,知りたいという想いは,都会からくる人たちだけでなく,地元の人たちにも強い。一方,人間の都合だけ考えていたのでは,写真撮影は野生動物に多大な脅威を与える恐れがある。しかも,地元の人たちとトラブルも多発するに違いない。

 自分の役割は,里山にいる人々,都会からくる人々の双方に里山の環境をよく理解していただくこと(里山の素晴らしさをアピールすることではない),そして野生動物に脅威を与えないで野生生物を撮影できるか,そのノウハウを開発し,皆様に提供することだと思う。

<参考文献>

  • Saigusa, M. (1980) Entrainment of a semilunar rhythm by a simulated moonlight cycle in the terrestrial crab, Sesarma haematocheir. Oecologia 46:38-44.
  • Saigusa, M. (1982) Larval release rhythm coinciding with solar day and tidal cycles in the terrestrial crab Sesarma haematocheir – harmony with the semilunar timing and its adaptive significance. Biol. Bull. 162: 377-386.
  • Saigusa, M. (2001) daily rhythms of emergence of small invertebrates inhabiting shallow subtidal zones: a comparative investigation at four locations in Japan. Ecol. Res. 16: 1-28.

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