<A-05でメス親死亡>
6月16日(火)に,上田西,案田,江与味方面に設置した巣箱内の写真を整理していたところ,上田東にあるA-05の様子がおかしいことに気づいた。
巣箱の中に小型カメラを入れて中を見ると,何か普通の状態と違っているような感じを受ける(図2)。カメラの先にLEDライトをつけておけば,その場で確認できるが,扱いが面倒なので今はつけていない。だから,雨の日や曇りの日には,中はほぼ真っ暗になることが多い。それでも何かあると,何となくいつもと違っているという感じは受ける。
巣箱に異常がありそうかどうかは,岡山に戻った晩か,翌朝になる。このケースは,翌朝ファイルを整理しているときに,一度巣箱を開けて中を見る必要があると判断した。
電柱に登るには,電柱登り機(与作)が必要で(図3),これを使って登り,巣箱の中を見ると(図4),やはり中でブッポウソウが一匹死んでいた(写真は掲載せず)。
死んでいたのはメスの個体で,死亡してからおそらく10日前後は経つのだろう。ハネカクシ(腐肉食)や大きめのウジが出てきたので,とてもはく製にできる状態ではなかった。
ということで,峰ピョン谷に戻ってから畑の一角にお墓を作って埋葬した(図5)。
A-05で死亡したブッポウソウは,2018年に同じA-05で捕獲し,私が足環をつけていた。また,5月30日にこの巣箱で生まれた卵(4つ)は死体の下にはなかったので,その個体が死ぬ前に誰か(他のブッポウソウでおそらくメス)が巣箱に入り込んで,卵を持ち出して外に捨ててしまった可能性が高い。
殻が残っていれば,割ったのだろうが,何も残っていない場合には,他のメスが持ち出して捨てたか,あるいはアオダイショウが入り込んだか,どちらかの可能性に絞られる。A-05の付近は,もう10年もずっと同じようなことが続いているが,原因が特定できていない。
もうひとつ特筆されることは,昨年(2020)同じ巣箱(A-05)でオスが落鳥したことだ。2018年には,オスの方にも足環をつけたが,落鳥したオスには足環がついていなかった。足環のついた古いオスとケンカして負けてしまったのかもしれない。
昨年A-05で落鳥したオスは,頭をつつかれていて最初はうまく歩けなかったが,保護して餌を与えているうちに飛べるようになったので,A-05の近くで放鳥した。少し時間をおいて真直ぐにA-05に向かっていったので,A-05はよく覚えていたと思われる。
A-05の巣箱の中で死んでしまったメス(図5)は,今年もオスと出会い,4つ産卵したのだが,自身が巣箱を出ているときに他のメスが入り込んで,卵を捨ててしまったのだろう。それでも毎年産卵と子育てに使ってきた巣箱(A-05)を必死になって守り続けたのだと思われる。死因は,異常に高まったストレスかも知れない。健気なメスであった。このメスの冥福を祈りたい。結局,今年(2021)は,A-05はもう使われないだろう。