【ブッポウソウ総合情報センター】本格的な里山の夏始まる

<令和3年(2021)6月13日(日)>

しばらく良い天気が続いていましたが,一昨日あたりから再び梅雨の空に戻っています。6月13日は,和田(吉備中央町)から上有漢(高梁市)にまわり,さらに中井町(高梁市)と北房町(新見市)にあるブッポウソウの巣箱で,ヒナのふ化の状況を調査しました。途中の道端で見つけた動植物を掲載しています。

6月13日の天気:午前・午後ともに曇り一時雨。夕方少し晴れ間。

まずは,特筆されるのはコオニヤンマの発生(図1)。6月10日前後から急に道路上で多く見られるようになった。ブッポウソウは,コオニヤンマ大好きで,ヒナがふ化するとまずこのトンボが狙われる。

図1.コオニヤンマ(当然ながら成虫)。オニヤンマに比べて,
広い空間を行き来することは少なく,わりにあちこちにすぐ止まる。

動物から紹介すると,コオニヤンマの次はエグリトラカミキリ(図2)。ひとつの土場(伐採木や伐採枝の置き場)で一度にたくさん見かけることはないが,どこの土場にも見られる。私が高尾山(東京都)で初めて採集したのがエグリトラカミキリだった。

図2. エグリトラカミキリ。なかなかいい感じのカミキリムシである。

5月下旬から6月上旬に里山の土場や薪置き場に一番よくみられるのが,キイロトラカミキリ(図3)である。伐採木や薪の上を素早く行き来している。

図3.キイロトラカミキリ。エグリトラなどのグループとは,系統的には少し離れた
グループの感じがする。カミキリムシのサイズとしては,中型に属する。

次はマメコガネ(図4)。田んぼや畑のイタドリの葉にいっぱいたかっている。これもブッポウソウのエサになると思うが,巣箱の外に落ちているエサの中には見かけない。(巣箱に入る際にあまり落っことすことがないのかもしれない。)求愛給餌のエサにはよく使われるのではないだろうか。

図4.マメコガネ。作物の大害虫とされているが,日本では田んぼや畑の
周囲では多く見かけるが,畑の中までは侵入していないことが多い
ようである。もっとも,畑で作る作物にもよるだろうが・・・。

次に樹液(図5)。だいぶ雨が降って,アベマキの木の樹皮が裂けた部位から樹液が出始めている。13日はまだ雲が厚かったので,何も来ていなかったが,晴れていれば,チョウならばオオムラサキ,キマダラヒカゲ,ルリタテハ,甲虫ならばヒラタクワガタ,コクワガタ,ケシキスイがいる。ミヤマクワガタやノコギリクワガタも来るが,すぐ捕られてしまう。もちろんオオスズメバチもよく訪れる。この場所は昆虫屋にはよく知られていて,もう少しすると関西から昆虫保護員とか称して見回りに来る。結構な高級車に乗り,昆虫撮影用のカメラを持っている。地図にたくさんマークをしているが,印のついた重要な場所は絶対に教えてくれない。

図5.樹皮のはがれたアベマキの樹幹。もう少しすると樹液が浸みだして,
そこに多くの昆虫が集まる(北房町)。昆虫屋がそれぞれのグループで
秘密にしている場所。北房町は,いろんな人たちが昆虫採集に訪れてきているようだ。

次に植物。6月上旬になると,人家の庭に植えてあるグミの実(正確には何というのか知らない。)が赤く色づく(図6)。ここ(上有漢)で見かけたグミのみはやや小ぶりであった。とって食べてみると,味はそんなに悪くないのだが,とにかくえぐい。昔はそんなものでも食べていたのだろうか。

こういうグミは,ナワシログミを品種改良したものだろうか?ナワシログミは,酸っぱく,かつえぐいのでとても食べられる代物ではない。野鳥の方は,ウグイスとかヒヨドリあたりは好んで食べそうである。もちろん,ブッポウソウは動物食なので,植物性のものはまず食べることはない。

ブッポウソウは,野外では昆虫類,特に甲虫目,トンボ目の昆虫をよく食べているが,ゆでたニワトリやウズラの卵や鶏肉,あるいは冷凍のアサリや殻付きエビ(もちろん湯がいてから)もよく食べる。ぴよ吉に至っては,カミキリムシやコガネムシなど,好きなはずなのに与えると,かんだ後に勢いよくプイと放り投げてしまう。

図6.グミの実。えぐみを取る方法があれば,サクランボぐらいの味になりそう。

最後に,本格的な夏を迎えた里山の景観を掲載した(図7)。里山は,春には多くの種類の花が咲き,田植えの雰囲気とも相まって,すごく活気がみなぎっている。しかし,梅雨に入りウツギが咲き,マタタビの白い葉(若葉)が目立つようになると,花の種類は急に減ってくる。もう少しすると,ネムノキのピンク色の花が咲き,リョウブの白い花が咲きだす。その時が真夏の里山となる。

図7.田植えが済んで,一面の緑に覆われた里山の景観(上有漢)。
有漢町にある巣箱は,毎年ほぼ全部ブッポウソウの子育てに使われている。

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