生物多様性研究・教育プロジェクト 四季折々の自然の風景と野鳥 2023–No. 4: イカリソウ(Epimedium grandiflorum)

令和5年(2023)4月24日(月)

1.はじめに
 イカリソウ(Epimedium grandiflorum)は,メギ科イカリソウ属の落葉多年草である。Wikipediaによれば,低い山地の雑木林に生え,春に淡紅紫色の錨形の花を咲かせる。観賞用や薬用に栽培もされる。

 標準学名は Epimedium grandiflorum C.Morren var. thunbergianum (Miq.) Nakai (1944)となっている。Var.はvariableの略。E. grandiflorumの1亜種(subspecies)ということだろう。ブッポウソウ(Eurystomus orientalis)(英語名は,oriental dollarbird)の調査をしている際に,里山(woodland)の林床で見つけた。

 イカリソウは,茎の先が3本の葉柄に分かれ,それぞれに3枚の小葉がつくために,三枝九葉草(さんしくようそう)の別名がある。「三枝」は「さいぐさ」と読める。「クヨウ」は漢字にすると「供養」と書ける。従って,イカリソウの別名は,三枝供養草(サイグサクヨウソウ)とも言える。ウム・・・,私もいつしか鬼籍に入ってしまったようだ。近澤峰男さんとは,じきに天国で会えるかもしれない。

 私は,ブッポウソウを含めて,貴重な動植物を見世物にするために研究・教育活動を行っている訳ではない。(見世物に仕立てることが地域貢献とは思っていない。)だから,どこにいるか,どこにあるかについての情報は,極めて限定的にしか公開できない。そのデメリットについては,写真等を通じての紹介で補いたい。最近は似たような情報がインターネット上で数多く公開されている。それらの中に記事を紛れ込ませれば,盗掘の恐れを減少させられるだろう。

 ブッポウソウも含めて,貴重な野生生物についての情報は,各県の自然保護関連部署,環境省,博物館,各地の教育委員会や図書館等で利用されるようになると,私個人としては大変うれしい。

2.被写体と撮影に関する基礎情報
<撮影者と所属> 三枝誠行・近澤峰男(NPO法人 生物多様性研究教育プロジェクト常任理事)
<撮影場所> 中国地方の里山(詳細な場所は教えられない。)
<撮影日時> 令和5年(2023)4月下旬。
<撮影機材> CANON EOS 7DにCANON COMPACT-MACRP LENS (EF 50mm 1:2.5)をつけて撮影。
<参考文献>
Wikipedia (https://ja.wikipedia.org/wiki/イカリソウ)。
米倉浩司・梶田忠 (2023) イカリソウ:BG Plants 和名-学名インデックス(YList)(http://ylist.info)。

図1.イカリソウの花。イカリソウはメギ科(Berberidaceae)の一属。主に北半球に分布する15属570種の大部分がメギ属とのこと。

図2.イカリソウの葉。ちょっとヤマイモの葉に似ている。(ヤマイモはツル植物)。

図3.イカリソウの花。一株に多くの花をつけているのがわかる。今のところこの林(10年前に伐採)の林床でしか見られない。

図4.イカリソウの花。咲きだしの頃は赤みが強く,時間がたつにつれ薄いピンクの色に変わって行くようだ。

図5.イカリソウの若葉。葉の上にいる黒いクモの種名は不明。

図6.イカリソウの複数株。咲く場所(habitat)は,コバノミツバツツジと同じなので,あっても気づかれにくいかもしれない。

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