ブッポウソウ総合情報センター速報(No. 45)

令和3年(2021)8月5日(木)

私の役割

ブッポウソウの研究にはある批判が付きまとう。それは,ブッポウソウは自然の生き物だから,手を加えるべきではないという批判である(例えば多くの写真家の方々)。

ブッポウソウの子育てに対して,人間が手を加えてよいか悪いかは,たぶん個人の持つ倫理観の違いである。自然のままにしておくことが自分に都合がよいと思っている人は,手を加えることは間違っていると言う。一方,ブッポウソウの子育ての詳細や性質を知ろうと思えば,遠くから眺めているだけではわからない。実際に手を加えて(つまり実験をして)初めて知ることができる。

吉備中央町は,これから「人とブッポウソウが共存する町づくり」をめざして動いて行くと思う。「人とブッポウソウが共存する町づくり」の実質的な推進者は,地域のじいさんたちである。吉備中央町には,ブッポウソウが来ないと,心が折れて「へなへな」になってしまうじいさんたちがたくさんいる。ブッポウソウを生きがいにしている人たちが多いのである。

だから「人とブッポウソウが共存する町づくり」は,吉備中央町で自発的にわきあがった前期高齢者や後期高齢者の自然保護活動なのである。ちょうどこの時期に日本の南方海上に発生する熱帯低気圧や台風みたいなものである。今は大気圧で言えば,980ヘクトパスカルぐらいだろうか。今後台風の目は,だんだん明瞭になることが予想される。

一方,人とブッポウソウの共存を進めるためには,ブッポウソウの性質をよく知り,繁殖期間中は子育てをしっかり見守る(管理する)必要がある。でないと,「人とブッポウソウが共存する町」と言ったって,こんなひどい管理の下でどこが共存なのかという強いお叱りを各方面から頂くことになろう。

ブッポウソウの巣箱が乱立する中で,保護と称して放っておくと,あちこちで大変なトラブルが勃発することは間違いない。ブッポウソウの繁殖期間中におきる様々なトラブルの原因を知り,どうやったら多くのトラブルを回避できるか,あるいは解決できる可能性があるかを指示できる者がどうしても必要である。

私の役割は,どういう時にどんなトラブルが起きやすいのかを調べ,そしてそれぞれのトラブル(ブッポウソウとブッポウソウ,ブッポウソウと人,ブッポウソウを介して起きる人と人のトラブル)に対し,どんな対応が可能かの情報を提供しようと思う。考えられる多様な対処法に基づいて,「人とブッポウソウが共存する町づくり」を進めたらよいだろう。

図1.残るは一匹だけになったE-17の巣箱。8月4日14:00ごろ。撮影はCASIO。

8月4日にE-17の巣箱に行った。親は巣箱の近くにいなかった。呼んでも返事がなかったので,少し離れたところで巣立った幼鳥の世話をしているのだろう。

巣箱の中を見たら,ヒナはもう一匹しか残っていなかった。残っているのは助一。巣箱をのぞいた時に大きな口を開けて上を見ているのは,お腹が減っている証拠である。しかし,今日からはもうエサはやらない。あとはお母さん頑張ってくれというだけである。

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