ブッポウソウ総合情報センター速報(No. 38)

令和3年(2021)7月26日(月)

巣箱に残るブッポウソウの死骸

速報No. 38では,ちょっと物騒な話題を提供したい。

ブッポウソウは子育てを終えたら,子供を連れて赤道付近の島に去って行く。ブッポウソウの家族が南の島に帰った後には,巣箱の中にはヒナのウンチや,親が運んできたが,ヒナが食べなかった残骸(アブラゼミ,プラスチック片,プルトップ,カタツムリなど)が積もっている。まあ,こういっては何だが,巣箱の中は相当汚い。巣箱によっては,スズメが運んだ大量のワラが残っているところもある。

巣箱の掃除は,ブッポウソウの個体群を維持するためには必要不可欠な作業である。フンやワラが巣箱の中に大量にたまると,ブッポウソウの産卵に大きな影響が出るからである。吉備中央町で巣箱を管理する団体は3つあり,巣箱の掃除はそれぞれの団体によって独自に実施される。私たちの団体(生物多様性研究・教育プロジェクト)が行う掃除は,他の2団体と比べ,相当雑で,かついい加減である。(大事なのは,掃除することですから・・・。)掃除の時期も,5月に入ることもある。掃除より先にブッポウソウのペアが到着して,巣箱のすぐ近くにとまって,早く掃除しろとばかり,催促しているところもある。「ケッ・・・,ケッ・・・」とゆっくり鳴いているのは,催促のシグナルであろう。

巣箱を掃除していると,フンに混じってブッポウソウの死骸が出てくることがある。風切や雨覆(翼に生える羽の種類)とくちばしは残っているが,頭部や胸部,腹部にかけては,ほぼ完全に白骨化している。死骸は親なのか幼鳥なのか,池田動物園の動物保護センターに尋ねてみたが,わからないとのご返事だった。

巣箱の掃除の際に見つかるブッポウソウの死骸は,決して稀ではない。多様性プロジェクトの巣箱では,昨年は2件。吉備中央町ブッポウソウ会では3件。日本野鳥の会岡山県支部の巣箱でも,毎年何件か発生しているようである。死骸は一匹のことが多いが,3~4年ほど前に大和にあるF-05の付近で起きた事件(親が両方とも落鳥して死んだ)の時には,巣立ち直前のヒナが4匹巣箱の中で死んでいた。早い話,この時は家族全滅であった。

巣箱に残るブッポウソウの死骸は,親か子のどちらなのか?また,なぜ一匹だけ残って死んでいるケースが目立つのか?不思議に思いながら今年(2021)も研究を継続した。子育ての終盤に得られたあるデータから,死んでいるのはヒナ(幼鳥)の可能性が高く,なぜ1匹残るかも説明できるようなった。次の速報から,何回かに分けて経緯を述べてみたい。

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