【ブッポウソウ総合情報センター】速報(No.11)

6月8日に落鳥したブッポウソウ,懸命の治療にもかかわらず死亡。

6月8日(火)に落鳥したブッポウソウ(図1)は,沼本(ぬもと)医院での3回に及ぶ手術を受け,生存が期待されたが,6月16日(水)死亡が確認された。

図1.保護されたブッポウソウ。性別はオス。左側の羽が
だらりと垂れ下がっているのがわかるだろうか。

死亡原因は不明だが,沼本先生によれば体温低下とのこと。本個体の左翼の上腕骨(この骨ではね全体を支えている)の基部が完全に破損しており,鳥が動くたびに翼の重量が羽に行く神経や血管にかかり,これらの器官も破損していった可能性は否定できない。

自然界の動物では,大きな傷を負ってこのような状態になった場合には,どんなに治療しても生き延びるのが難しいのだろうか。唯一生存の可能性は,保護された時点で(残酷なことではあるが)左翼を完全に切除してしまうことかもしれない。

この鳥(図1)が生きるか死ぬかで,私たちの自然保護に対する意識が全く異なる方向に行くことになりそうだ。その意味で,この鳥が私たちに対して提供してくれた情報は,かけがえのないものであり,よく頑張ったことをほめてやりたい。

巣箱かけが成功して,ブッポウソウの個体数はますます増えつつある。その陰でライバルとの戦いで傷ついて落鳥し,死亡する個体の数も増えてゆくだろう。見た目は小さな傷であっても,結局生き残れる可能性が非常に低いことが明らかになれば,私たちが今考えているブッポウソウに関しての自然保護とは違った考え方が必要になるだろう。

その結論を出すために,どこまで傷ついた落鳥個体ならばその命を救うことができるのか,もう少しデータを集める必要がある。

皆様にはさらにブッポウソウの落鳥があった場合に,迅速な保護をお願いしたい。獣医師や動物飼育員との連携で,救える命の範囲(境界)を見極めたいと思う(図2)。

落鳥を見つけたときの連絡先(TEL):
1)中山良二さん:090-1181-0544
(携帯番号の掲載は,ご本人が了解されています。)
2)吉備中央町協働推進課:0866-54-1301

図2.6月16日に死亡したブッポウソウの落鳥。
死ぬ直前まで実にかわいらしい目つきをしていた。

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