【ブッポウソウ総合情報センター】速報(No.6-3)

<沼本動物病院での治療>

6月8日に吉川付近で落鳥したブッポウソウは,次の日(6月9日)朝までには死亡すると予想していたが,生きていたので,9日の夕方5時に沼本病院に連れて行った。

図1.抗生剤を投与したあと,包帯でぐるぐる巻きになったブッポウソウ。

抗生剤を投与してから,翼の付け根の骨(具体的な名称は知らないが,相当な複雑骨折になっていると思う。)の状態を調べ,翼を固定して回復を待つという治療が行われた。

このブッポウソウが回復する可能性は80%以上と予想されるが,傷が治り,リハビリをしても,この個体が大空に羽ばたける可能性はまずないものと思われる。それはそれで,新たな問題が生じてくる。

図2.足は包帯から出ていないと不自由なので,包帯を少し切って足を露出させた。
しかし,夜中のうちにぐるぐる巻きにした包帯は全部脱いでしまった。
図3.治療後のブッポウソウのオス。何か,元気そうな気がする。

ただし,図3のような状態を見て,気を付けないといけないのは,野生生物の場合には最初は元気そうに見えても,急に状態が悪化して死亡する例が多々あることだ。人間でも,戦争で負傷した兵士が,最初はすごく元気でも,1時間ほどすると急に元気がなくなって死亡することがある。だから,落鳥個体は,できる限り早く吉備中央町協働推進課に連絡するか,中山良治さんに直接電話して引き取りにきていただくかすれば,救える命の数は増えると思われる。

ブッポウソウは個体数が増え,巣箱やメスをめぐって争い,敗れて傷つく個体が増加するだろう。ブッポウソウ野戦病院(今風に言えば,ブッポウソウ救命救急センター)みたいな治療施設の設置は不可欠であろう。

図4.落鳥の傷の治療をしてくださった沼本先生に感謝。

ブッポウソウの写真をご覧になった方々の中に,ブッポウソウの皮膚やくちばしの色がやけに赤くなっていることに気づかれた人もいたと思われる(図2と図3)。ブッポウソウを捕獲していると,くちばしや足の皮膚が相当赤くなった個体をよく目にする。

赤いくちばし,赤い脚の皮膚を持った個体はすべてオスなのか,あるいはメスの中にもそういう個体が現れるか,まだわかっていない。どちらにしても,繁殖時期に分泌されるホルモンがかかわっているだろう。オスだけに発現する現象であれば,脳下垂体前葉(Anterior Pituitary)から放出されるどれかのホルモンの可能性が高いし,オスだけに発現するのであれば,生殖腺(Gonad)から放出されるホルモンの可能性がある。ニワトリでも同じような現象がありそうだし,調べてみればすでに分かっている現象なのかもしれない。

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